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山本の発言により辺りはなんとも言えない空気となる。ツナ達はゴクリと息を呑んで雲雀の答えを待った。雲雀が舞のことを気に入っているのは全員が知っていたからだ。


「僕は別にあの小動物のことを好いてはいないよ」


漆黒の瞳がキラリと瞬く。しかし直ぐにフッと目を細めて笑った。


「“今”のところはだけどね」
「「「!!」」」
「これから先はどうなるかわからないよ」


そう雲雀が意味深に言葉を紡げば、ツナ達はそれぞれ心の中で思ったことを呟いた。


「(それって舞ちゃんのこと好きになる可能性があるってことーー!!?)」
「(ハハっ。手強そうなのな)」
「(山本も雲雀も正気か、コイツら。あんなチビ女を好きになる、とか…)」


心の声をつまらせたのは獄寺。何故か彼は動きを静止させた。頭にはスッと舞の笑顔が浮かんだ。確かにアイツは良い奴だとは、思う。でもあのチビ女を“好き”なんて感情は一切ねェ。なのに……なんでこんなに野球馬鹿達にチビ女が好かれてることが気になるんだ。頭の中でグルグルと回る上手く整理がつかない気持ち。自分のことであるのに自分のことがよくわからなかった。だーっ、きっと野球馬鹿達の発言に驚いただけだ。そーに違いねェ。最後はそう結論づけることで思考をストップさせた。


「始めないんだったら一気に咬み殺すけど?」
「え、ちょっ、それは…!」


中々勝負を始めないことに痺れを切らしたのか雲雀はツナ達にキッと鋭い視線を這わした。まるで蛇に睨まれた蛙のようにツナは背筋を凍らせ、「待って下さい…!」と必死に雲雀を宥めた。そんな凍てつく視線を放つ雲雀に近づこうとする勇者が1人。いや、勇者ではなく只の酔っ払いだ。


「へーー。おめェが暴れん坊主か。お前姉ちゃんいる?」


お酒の匂いをプンプンさせながら雲雀に問うたのはどうでも良い質問。雲雀は表情を一切変えずに地を這うような声でただ一言、「消えろ」と言いシャマルをトンファーで吹っ飛ばした。「ふぎゃーっ」と間抜けな声を漏らしながらシャマルは倒れ、その様子にツナ達は呆然とする他なかった。


「10代目。俺が最高の花見場所をゲットしてみせますよ!」
「えっ、でも獄寺君。相手は……」


相手はあの雲雀さんだ。ツナがそう言葉を続けようとするとリボーンの声によりそれは阻まれた。「まぁ、見てろ」とリボーンは多くは語らずその一言だけを言い、視線を獄寺と雲雀の戦いに向けた。


「テメェだけはぶっ飛ばす!」


何本かのダイナマイトを手に持ち、獄寺は猪のように真正面から堂々と雲雀へと走り出す。そんな獄寺を雲雀はつまらなそうに息をひとつ吐いた。


「いつも真っ直ぐだね。わかりやすい」


獄寺の顔面を目掛けてトンファーを思い切り振り翳す。しかし読んでいたのか獄寺は雲雀の攻撃をスっと交わし、トンファーは宙を切る。そこで獄寺はブワっと幾つものダイナマイトを雲雀の周りに撒き散らした。これは獄寺の新技「ボムスプレッズ」だ。


「果てな」


雲雀の傍から離れ、獄寺の背後ではダイナマイトによる大爆発が起こった。爆風で桜吹雪が空を舞う。あの雲雀さんを倒した…!と、ツナは驚きで瞳に丸みを帯びさせた。しかし、流石誰からも恐れられる最強の風紀委員長。そう簡単に倒れてはくれないようだ。


「で……?続きはないの?」
「なっ。トンファーで爆風を!?」
「二度と花見をできなくしてあげよう」


雲雀はトンファーで爆風を切り視界を晴れさせると、それを回転させながら獄寺へ向かう。そしてまた獄寺の頭上で弧を描くように武器を振り回した。なんとか獄寺は避けることに成功をしたがその際に膝を地面に着けてしまった。これで獄寺の負け決定である。「獄寺は膝をついた。ストップだ」リボーンがそう声をかけるが、雲雀はゾクゾクするような好戦的な表情をしながら「やだよ」と呟き攻撃をする手を止めようとはしなかった。このままでは獄寺君が…!とツナは顔を青くすると桜並木に囲まれるこの場所で不似合いな金属音が響き渡った。



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