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お花見


「舞ちゃん。こっちのおかずこれでいいかな?」
「うん、バッチリだよ!」


ツナの家では今、舞を含む女子達によるお弁当作りを行われていた。外はすっかり気温も上がり、鮮やかなピンク色の桜が町中に咲き乱れている。折角の桜なのだから皆でお花見でもしようということになり、女子がそのお弁当を作る役割を担ったのだ。


「はひー。舞ちゃんって料理すっごくお上手なんですね!」
「まあ、1人暮らしだしね〜」


舞の手際の良さには皆が称賛の声を漏らした。それくらい彼女の料理の作り方は効率が良くて早く、且つ見た目も美しかったのである。褒められて嬉しいのか舞は、更に色々な料理を作り出し、お弁当には色とりどりのおかずが飾られていった。


〈〜〜♪〉


その時、舞のポケットから着信音が流れた。「お、電話だ」と気付き、携帯をポケットから出して相手を確認する。その相手はリボーンであり、何かあったのかな…?と首を傾げ、皆に「ちょっと電話出て来るね」と声を掛け舞は廊下へと出た。


「もしもし」
《舞。もう弁当は作り終わったか?》
「え、あともうちょっとってとこかな」
《じゃあお前だけ直ぐに来てくれ》
「えっ、」
《待ってるぞ》
「へ!?ちょっと、待って!リボーンっ」


慌ててリボーンに問い掛けるが耳に響くのは虚しくも電話が途切れたプープーという音。相変わらずリボーンという人物は横暴だ。人の話しなんて聞きやしないのだから。はあ…と溜息を吐き、リボーンはそういう人物なんだと諦めることにした舞。きっとまた面倒ごとにツナを巻き込んでいるんだろうと思い舞は京子達に謝るべく、またキッチンへと入って行くのであった。



▽ ▲ ▽



舞の予想は大当たりでツナ達は面倒ごとに巻き込まれている渦中にいた。目の前には鮮やかな桜をバックに1人佇む黒。その人物にツナは冷や汗を流していた。何故、最強と謳われる風紀委員長の雲雀が此処にいるのだろうか。しかもこの桜並木一帯の花見場所を風紀委員で占領しているという始末。しまいには、あっさりとこの敷地にツナ達を踏み入れさせた部下の風紀委員を噛み殺すという惨劇にツナ達は背筋をゾっと凍らせた。


「いやー絶景!絶景!花見ってのはいいねー♪」


緊迫した雰囲気には似合わないふざけた声色。その声に振り返ると桜の木から酔っ払って顔を赤くしたシャマルの姿があった。その手には酒の瓶がしっかりと握られている。


「っか〜〜。やだねーー。男ばっかっ!」
「Dr.シャマル!」

「まだいやがったのか!!このやぶ医者ヘンタイ!スケコマシ!」


突然のシャマルの登場に獄寺は目くじらを立て怒声を轟かせた。それをツナが「まーまー」と落ち着かせる。


「俺が呼んだんだ」


シャマルを呼んだのは問題ばかり引き起こすリボーン。今日は花咲か爺さんの格好をしており、木の枝にチョコンと腰を下ろしていた。


「リボーンも!」
「おめーらかわいこちゃん連れてこい!」
「赤ん坊。会えて嬉しいよ」


リボーンがいるといつも好戦的な表情で口元を緩める雲雀。そんな彼に対してリボーンはある提案を口に出した。それは花見の場所をかけてツナが勝負をするという内容。ツナは真っ先に「勝手に話を進めるな!」と声を上げるが、雲雀はそのリボーンの誘いに乗ってしまう。


「じゃあ君達3人とそれぞれサシで勝負しよう。お互い膝をついたら負けだ」
「ええ!それって喧嘩!?」
「やりましょう10代目!いや、やらせて下さい!」
「一応ルールあるし花見してーしな」


他の2人はやる気が十分に漲っているようで、思わず表情を歪ませるツナ。リボーンが医者を呼んでいるから心配するな…と言うが、医者というのは女しか診ないシャマルのことなのでその台詞には無理がある。しかも彼はベロンベロンに酔っ払っているのだから尚のこと期待ができない。


「ねぇ。今日は星野舞はいないのかい?」


突然の雲雀からの質問にツナ達の動きがピタッと止まった。いや、誰も気づいてはいないがニヤリと笑う赤ん坊が1人。ツナは少々驚きながらも緩慢に口を開く。


「舞ちゃん、だったら家でお弁当作ってくれてると思いますけど…」
「ふーん」


ツナがそう言えば雲雀はつまらなそうにして切れ長の瞳を伏せた。その反応を見て、次に声を上げたのは山本だ。


「雲雀も舞のことが好きなのか?」
「「!?」」


ハハっといつものように爽やか笑みを浮かべながらの爆弾発言。その質問を問われたのは雲雀であるが大きく動揺を見せたのはツナと獄寺の2人である。雲雀“も”の所が重要なのだ。


「(へっ!?山本って、舞ちゃんのこと好きだったの!?)」
「(こ、コイツ…チビ女のこと好きだったのかよ!?)」


山本は誰に対しても優しい。故に、特別な優しさは他人からは分かりづらいものでツナ達は山本の気持ちに気づかなかったのだ。だからこそ、「好き」という感情が絡んでいたとは思いもよらずツナ達は驚きで目を大きく見開くのであった。



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