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「これが次のトレーニングだ。飛んでくる弾を交わすんだぞ」


500m先から狙撃をするようにディーノに頼んだというリボーン。勿論、エアガンではなく実弾と入った本物の銃だ。正に命掛けなのだが山本にはその危機感が無く、いつもの笑みを浮かべどこか楽しんでいる様子。


「オッケー。動体視力と反射神経を鍛えるんだな。ついでにツナもやれよ」
「なっ!?何言ってんだよ!ってか、狙撃とか頼んでんの!?死んじゃうって!」


簡単に誘う山本に向かってツナは、嫌だ!と猛反対をする。命の保証が出来ないというのにやると言う筈が無い。だが山本には通用しなかった。


「まーまー。せっかく用意してくれたんだ。遊んでこーぜ」
「あのね山本!!……うわ!」


そうこう言っている間にもツナの足元に弾丸が打ち込まれる。ツナの否応関係無しにトレーニングは始まってしまっている様だ。山本はついさっき貰ったバット(望遠鏡)で狙撃手を見つけ、「俺が誘導すっから」とツナに言い放つ。


「獄寺もぶっぱなせよ」
「な。またっスか?…しかし…」
「それが山本のためだからな」
「!!…ならしょーがねーよな。悪く思うな、山本。お前のためだ」


明らかに悪意が含んでいて隠しきれていない。ワクワクとした表情を浮かべながらダイナマイトを持つ手に力を入れる。


「10代目!!避けて下さい!!」


うそー!!というツナの叫び声が木霊する。遠方からの弾丸に、舞い散るダイナマイト。ツナと山本は爆風に包まれ決して穏やかな状況ではない。そんな彼等を舞は、ハラハラとしながら見ていた。出て2人を助けたい。でもそれじゃあトレーニングにならない。相反する気持ちを抑え、頑張れ…と心の中で念じた。


「流石だな。この爆風の中、遠方からの弾丸の弾速に慣れちまった」


この悪状況の中でも山本は冷静に周りを見渡して動いていた。弾とダイナマイトを華麗に避け、泣き叫ぶツナに的確な指示を出して誘導をしている。その様子にリボーンも満足気に口角を上げ、腕を組んだ。


「仕上げだ。舞」
「え?」


突如リボーンに自身の名を呼ばれ舞は不思議そうに首を傾げた。「なあに?」と聞き返すと、「お前もやれ」とあっさり返答された。


「あたしも…?」
「そうだぞ。最後の仕上げだ」


うーん、と乗り気ではない舞。それもそうであろう。獄寺は兎も角、舞は山本を友達だと思っているのだから。中々、肯定しない彼女に対しリボーンは次の手を打った。


「お前がやらねーとツナ達のトレーニングは終わらねーぞ」
「えっ!?」


そう言われ、慌ててリボーンからツナ達へと視線を移す。目の前に広がるのは酷い惨劇。山本はまだまだ余裕そうだがツナはそうはいかない。ボスが苦しんでいるのにそれを長引かせることなど舞にはできなかった。彼女は苦渋の決断をし、右太腿のホルスターから拳銃を取り出した。


「(武君。ごめんね…)」


心の中で謝り、引き金に指を掛けて構える。舞の腕前だ。爆風に包まれていようが簡単に標的を射抜けるだろう。その時、あらゆる攻撃を交わして山本達が舞の前に飛び出して来た。拳銃を構えた舞と山本の瞳が重なり合う。今、この瞬間だ。


「武君。死んで」
「なっ!?舞ちゃん!??」


ズカン。銃声が響いた。ツナが、もう駄目だ…と目を瞑ろうとした刹那ーー、リボーンがニッと小さく微笑んだ。


「んーー?」
「か…刀ーー!!?」


そう。山本は刀で舞が撃った弾丸を斬り落としたのだ。元はバットだっただけに山本もツナも目を丸くして驚く。舞は小さく安堵の息を洩らした。リボーンが手渡したこのバット。これは見た目はバットその物で普段は望遠鏡となるが、ヘッドスピードが時速300qを超えると本来の姿である刀に変形する「打の武器」であったのだ。名付けて“山本のバット”だ。


「アハハハ。意味わかんねー!!面白れーこれ!」
「(馬鹿ウケしてるし…)」


山本は簡単に弾丸を斬ってのけたが、至近距離からの弾丸の速さについていけるのは持ち手自身の能力の素晴らしさなのだ。刀に直ぐ慣れてしまったようで、今度はリボーンから一発打たれるが山本は「あいよっ」と軽く交わすのであった。



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