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「10代目。俺です」

爆風が吹き荒れる中、この爆発を引き起こした人物が姿を現わす。やはり爆発と言ったらこの人物しかいない。いつものように煙草を咥え不敵に微笑んだ。


「スパイ活動が終了したのでそちらに戻ります!」

「なッ!スパイ活動って…」
「(獄寺君!!思いきっり寝返っちゃってるー!)」


スパイ活動が終わったという獄寺の意味不明な発言に舞とツナは呆然とした。すると誰かが、ならば我々も!!と声を上げた。新しい人物の声にこの場にいる全員が首を傾げる。そして突然に積もっていた雪の中からディーノの部下達が姿を現わした。


「「ボスを守ーーーる!!!」」
「ディーノさんの部下ーー!!?」
「遊びとはいえボスを敗軍の将にゃできねーからな」
「うーー。寒かったぜ」
「お前らいつから潜ってたんだ!?」


長い事、雪に埋もれていたのだろう。ロマーリオ達はガタガタと身体を震わせ寒さに耐えていた。ボスであるディーノも驚きで声を荒げる。どんどんとめちゃくちゃになる雪合戦にツナは頭を抱えた。これでは勝負もへったくれもありはしない。審判であるリボーンにツナは追求をした。


「こんなんでいいのかよ審判!!」
「うん。ぴったり予想通りだ」
「お前また遊んでんなー!!!」
「ハハっ。リボーンらしい!」


さらっとそう告げるリボーンにツナは顔を青ざめさせ、反対に舞は面白いと嬉々として笑った。これで勝負はボンゴレ対キャッバローネとなる。獄寺はそれを理解すると指の間にダイナマイトを装備し、咥えている煙草で火を灯した。そしてそれらをキャッバローネに向かって宙に舞い上げる。


「果てろ」
「雪玉合戦から雪上の合戦になっちゃってるー!」
「させるかよ。スモーキン・ボム」


ディーノは器用に自分の武器である鞭を使用して宙に舞うダイナマイトを真っ二つに折った。部下がいる時の彼は圧倒的に強いのだ。ディーノは鞭を構え、好戦的な目で口元に弧を描いた。


「どーした?レオンはいただくぞ」
「そうはいかないわ」


またも新たな声が校庭で轟いた。その声の主に皆が一斉に視線を向けた。


「よくも私抜きで遊んでくれたわね。行くわよ下僕達」
「な!?ビアンキ!?」
「勝つのは私達、毒牛中華飯!!」


そう言うビアンキと共に決めポーズをとるのがランボとイーピンである。新たに誕生した第三勢力の存在に皆は戸惑いの色を見せるがリボーンだけがニッと確信犯的に笑うのであった。


「どーいうつもりだよビアンキ!!いきなり割り込んで来て!」
「貴方にわかる?遊びに誘ってもらえなかった者の気持ちが」


瞳が据わっているビアンキには確かな狂気が伺えた。つまりは誘ってもらえなくてスネているのだ。ランボとイーピンが仲間なのは単純に恐喝した為らしい。そんなビアンキの恐ろしさに兄弟分であるディーノとツナが揃って顔を青ざめさせた。そのツナの横で舞は不思議そうに首を傾げており、獄寺に声をかけた。


「ねぇ。ビアンキさんいるけど平気なの?」
「あっ、そういえば…!獄寺君大丈夫なの?」


舞の質問を聞き、ツナも思い出したように彼女に続いて問うた。獄寺といえばビアンキを一目見ただけで体調を崩してしまう異常体質の持ち主。その獄寺がビアンキを見ても普通にしていたので舞も気になっていたのだ。問われた本人である獄寺も不思議そうに自身の身体を確認している。


「それが俺にも………。あ、でもこんなことが前に一度だけありました。姉貴が秋分の日にリスの着ぐるみを着ていた時です」

「(あの人なにしてんのーー!?)」
「なにそれっ!ビアンキさんお茶目!」
「(舞ちゃんも何言ってんのーー!?)」


ビアンキの奇行を知りツナは呆れ顔を見せるが、舞はやはり前向き思考でビアンキを賞賛する。その舞の姿にツナは心の中で盛大なツッコミを入れるのであった。そして、「あっ」と彼は頭の中で何かが結びついたように声を上げた。


「ビアンキの顔が仮面で隠れてるからかも」
「はっ。そうかもしれない!…ということは…ついにやったぜ!!とうとう姉貴を克服したんだ!!」


根本的に克服したとは言い難いが、長年苦しんだ問題の打開策を見つけ獄寺は嬉しそうに喜びを噛み締める。そんな獄寺を見て、舞は「良かったね」と微笑みを見せたのであった。


「3チームになったことだし雪合戦のルールを変えねーとな」


校庭にいる人数が次々に増え、収拾がつかなくなって来た頃に声を発したのは審判であるリボーンであった。リボーンは衣装を縄文時代風の趣きがあるものに変え、新ルールの説明をした。変わると言ってもレオンを奪い合うのは変わらない。ただ今度はそのレオンがturboとなり逃げ回るのだ。つまり走力戦ということとなる。


「んじゃ、第2ラウンドスタート!」


リボーンの掛け声により、レオンturboがギュルルルとタイヤを勢いよく回転させ走り出す。それを追うように各チームも共に走り始めた。


「面白そーだぜ」
「いきましょう10代目!」
「ツナ君行こっ!」
「あー。皆をランキングしたいよー」


ツナ以外は皆、楽しそうにまるで純粋無垢な子供のようにレオンを追いかけた。それは大人ばかりのキャッバローネも同じである。だが、キャッバローネの部下の1人が「ふぎゃっ!」と短い悲鳴と共にバタリと倒れた。


「油断大敵。毒ボーボーよ」


倒れたのは毒牛中華飯チームが投げた毒入り雪玉の所為。ビアンキ達は臆することなく堂々とソレを大量に投げ込み、ディーノ達に攻撃を仕掛けた。ディーノも「そっちがその気なら」とニヤっと笑い、懐から何かを取り出してドカンと撃つ。


「実弾入り雪玉!!」

「もー遊びの域超えてるよー!!やりすぎだって!」
「わあっ。皆本気だねー!」


雪合戦という遊びにかかわらず、勝負の内容は命懸けである。ツナは精神的疲労で寿命が縮まっていきそうであった。「今のうちに行こーぜっ」と山本がディーノとビアンキのチーム闘っている間にツナ達はレオンturboの捕獲を目指す。しかしそう簡単にはいかなかった。


「「そーはさせないわ(ぜ)!!」」

「うわーっ。集中砲火だー!!」
「おいおい」
「わーお!」
「やられたー!!」


ディーノとビアンキは互いに標的をツナへと変え、毒入り雪玉と実弾入り雪玉を同時に放った。ツナに止める術はない。もう死んだ、と目を瞑りこの世の別れを悟った。が、ツナに攻撃が当たることはなかった。来ない衝撃に恐る恐る目を開くと以前も見た事がある光景に目を見開く。


「ツナ君に攻撃できるわけないよ」


淡々と軽い口調で告げられ、ツナは益々驚いた。「だってあたしが守るんだから」そう言った彼女の手にはヌンチャクが握ってあり、先程の攻撃も全てを見切り弾いたことがわかった。余裕そうな笑みを浮かべウインクをする舞の姿にツナは安堵の表情を見せ、「ありがとう。助かったよ」と感謝の意を表すのであった。


「やっぱり我慢できないよ。皆揃ってるんだもの。ランキングせずにはいられないよ」


フゥ太がそう言うと、積もっていた雪が舞い上がりソレが防御壁へと変化を見せた。ランキングをしている間に起こる無重力空間の所為である。フゥ太は始めの頃からランキングをしたいと言っていたから限界だったのであろう。


「舞姉はすごいよ。体術が8万223人中98位。この中ではダントツだよ。それに狙撃の腕も8万223人中75位でズバ抜けてる」

「え、あたし?」
「舞ちゃんってそんなに強いのー!?」


いきなりランキングを言い渡され舞はキョトンとさせた。そう告げられもあまりピンと来ないのであろう。対するツナは小柄ながら相当な実力を持っていたことに驚愕の表情で叫んだ。


「武兄もすごい。走力、8万223人中213位。この中ではトップクラスだよ」
「ん?」
「隼人兄の火力も8万223人中116位でこの中ではダントツだ。ここは僕の壁と隼人兄の火力で敵を足止めしている間に武兄がレオンを追っかけて、舞姉がその援護をするのが得策だね」


つまりはオフェンスとディフェンスに分かれると言うこと。フゥ太の作戦に賛成をし、そのやり方で勝ちを目指すボンゴレチームは直ぐに行動に移した。


「2倍ボム!」


もう既に雪は使われていない。雪合戦とはどういうものか些か気にはなる所だが、獄寺のダイナマイトにより相手はリタイアとなり確実に人数は減っていった。


「ラジコンはあそこだな」
「ラジコン……?」
「レオンのことだねっ」

「おさき」
「!」


オフェンスである山本が周りを見渡せば標的のレオンは階段の手摺りを登っている最中であった。すると、山本の横をサッとディーノは過ぎ去って行った。


「ああ!先をこされた」
「まあ落ち着けツナ。俺に任せとけ!」
「あたしも援護する!」


山本の好戦的な笑みを浮かべると颯爽とディーノの後に続くように走った。ツナの横では舞が滅多に出さない銃を構え、標的に狙いを定めている。しかし彼女は何かに気づいたように「あ」と声を漏らし構えてい銃を直ぐに下ろした。


「え、舞ちゃん?」


ツナが不思議そうに問うが舞は慣れた手つきで拳銃を太もものホルスターにしまい、眉を下げて笑って見せた。


「あたしは何もしなくていいみたい」
「?」
「ほら」


彼女が指差した先にツナは視線を向ける。すると「おわっ」と叫び声が聞こえ、目の前の状況に思わず驚愕で顔を青ざめさせた。舞は、やっぱり…とどこか呆れた様子でその光景に目をやる。何をどうやったらこうなるのであろうか。部下がいないとヘナチョコになるのは知っていたが、まさか転んで己自身が雪玉となり階段を下ってくるとは思わないだろう。


「ミスった!!」
「何をミスったらこーなるんですかーー!!?」
「武君!!」


舞が声を掛けても時既に遅し。ディーノの後を追いかけていた山本は巻き添えとなり雪玉の下敷きとなりリタイアとなった。

この雪合戦も段々と人数が減り、残りはツナ、獄寺、舞、フゥ太、ロマーリオ、ビアンキ、イーピンの7人となった。ビアンキが最後の猛攻として毒入り雪玉の一斉に投げ込む。勝利に対する意地が強いように見えた。


「これで主力は減ったわね」
「そいつぁーどうかな。ダイナマイトで溶けた雪の上にあいつを落としちまったみたいだ」


雪に包まれ鼻を赤くしながらディーノは言う。「あいつ」とは一体何であろうか。ビアンキも首を傾げると目の前の水溜まりでバシャバシャと動いている小さな動物がいたのだ。その正体に舞とツナの声を上げる。


「「エンツィオ!!」」


水を含んだエンツィオは驚くべき程、巨大化し今にも皆を踏み潰しそうだ。獄寺はエンツィオを見ると「山の神」と崇め何故かブツブツと祈り始めた。彼は月刊「世界の謎と不思議」を愛読書とする程、神秘的なものが好きだったのだ。だからエンツィオを「山の神」だと信じて疑わずその場から動こうとはしなかった。


「何をしているの!?逃げなさい隼人!……隼人!!」
「ごぱっ!!」


凶暴な生物を目の前にして動かない自分の弟を助けるためにビアンキは獄寺へと近寄った。そして、態とか無意識かは分かり兼ねないが獄寺の名を呼ぶ為に突如付けていたゴーグルを外してしまったのだ。ビアンキの素顔を見て獄寺が耐えられるわけもなく彼は呆気なく地面へと倒れた。



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