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藤野が飲んでいる紅茶を羨ましそうに見ていると、藤野が俺が舐めた口元らへんを手で覆って真っ赤になっていた。
それを羨ましそうに会長と書記が見ている。
なんだ、こいつらもおかわりほしいのか。

「あ、おかわりもって来ますね」

俺の様子に気づいた副会長が俺の空のカップを手にとった。
その時に香った香りに、思わず副会長の腕を掴んだ。

「え、どうしたんですか?」

「…失礼します」

「え、ちょ、ちょ、え!?」

焦りまくりな副会長を無視して、副会長の胸元に顔をうずめ、くんくんと匂いを嗅ぐ。

「…紅茶のにおい…」

副会長から香る紅茶の匂いに、はふ、とため息が零れた。

「え、紅茶の匂い?」

「はい、いい匂いがします…」


ぱちくりと目を瞬かせ、自分の袖の匂いを嗅ぐ副会長が頭を傾げている。
副会長の胸元から離れずにいると、会長が舌打ちをして、向かい側のソファーから俺の腕を引いてきた。

「ぁあっ!紅茶が…っ!」

「うるせぇ!俺の匂いも嗅げ!」

紅茶の匂いから離され、悲痛な声を上げるが、会長の胸元に押し付けられた時に香った香りに、また頬が緩んだ。

「かいちょーからも紅茶の匂い…」

「いい香りすんだろ?」

紅茶の匂いに浸っていると、書記が横から抱きついてきた。

「僕だって紅茶の匂いするでしょ?」

今度は会長に抱きしめられたまま書記の胸元に顔を寄せ、うずめてみれば、確かに紅茶の香りがする。

「いいにおい…でも、どうしてだ?」

なんで生徒会メンバーから紅茶の匂いがするんだろ?

「そいつらの会社が、紅茶の茶葉の販売をしてるからだ!」

俺の疑問を、藤野が解決してくれた。
なるほど、だから紅茶の匂いが染み付いてるのか。

「といっても、まだ始めてそんなに経ってないけどね」

「俺たちは将来会社を継がなきゃいけないからな。その前に自分達で会社を経営してみろって、親がうるさくてな。」

「僕達の親がすっごい紅茶好きでさぁ。だから紅茶のショップ経営を数店舗任されてるの」

「俺の家は、こいつらが販売する海外の茶葉を輸入したりしてるんだ!」

へぇ、生徒会の仕事もあるのに大変なんだなぁ。
でも紅茶に囲まれた仕事なんて幸せだよなぁ。匂い嗅いでるだけで幸せだもん。

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