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「おい成!ぴょんとか可愛すぎんだよお前!」

「うるせぇ黙れぴょん」

「成、うさぎさん、似合う」

「うれしくないぴょん後、成じゃねぇぴょん」

さっきからうるせぇよ!
つか、着ぐるみ着てんのになんで俺だってばれてんだよ!

「いや、その声は成くんです!お昼の放送を毎日欠かさず聞いてる僕が言うんですから間違いないです!」

「俺だって放送録音していっぱい聞いてるから分かるもぉん!」

「あ?俺だって寝る前に欠かさず聞いてんだよ」

「…オカズ」

き、気持ち悪りぃ!
つか書記お前殴るぴょん

声フェチらしいこいつらは俺の声を大層気に入ったそうで。
放送部に入って、昼の放送を任されてからずっと付きまとわれている。
さっきから俺が声を出すたびに顔を赤らめて震えるから気持ち悪い。

「なんだ?兄ちゃんうさぎの事知ってんのか?」

俺たちのやり取りを見ていたちびっ子達が首を傾げている。
うぅ、こんな可愛い奴らが変態生徒会の弟だなんて…
将来が不安すぎる…!

「成くんは僕のお嫁さんになるんですよ?はぐれたと思った弟達を助けたのが成くんだなんて…運命を感じちゃいますね」

「成くんはね〜俺と結婚するんだぁ」

「成は俺の嫁だ」

「…初夜」

それぞれが弟の頭を撫で、言い聞かせるように言ってるけどちょっと待て。
誰の嫁だって…?


「兄さんのお嫁さんって事は、毎日うさぎさんに会えるって事ですか?」

「勿論ですよ。家族になれるんですから」

「いつでもうさぎさんに会えるの〜?」

「うん〜!毎日一緒だよぉ」

目を輝かせる雅くんと圭くんに眩暈を覚える。
くそっ!変態生徒会共が変な事言うからちびっ子達が食いついてきたじゃねぇか!

「俺も、うさぎさんと、けっこんしたい…」

幸くんの言った一言に、騒がしかった放送室が一気に静まった。
え、今なんて言った?
結婚とか言わなかった?

「ゆ、幸くん…?何言ってるぴょん?」

「うさぎさんと、けっこん、する!」

うわぁああああ!
幸くんまで何か言い出した!

「仕方ないから俺もうさぎとけっこんしてやるよ…っ!」

照れたようにそっぽを向く吉良くんに膝から崩れ落ちる。
お前もかよ…!
俺とけっこんできるのが膝をつくほど嬉しいのか?とか言ってる吉良くんは無視する。
なんでそんなポジティブ思考なんだ!

「え〜!きらとゆきばっかりずるぅい!僕もけっこんしたいよぉ!」

「僕だってうさぎさん大好きですもん!」

幸くんと吉良くんに左腕を、圭くんと雅くんに右腕をひっぱられ、俺の体がちぎれそうになる。

「いてぇよ馬鹿!はーなーれーろっ!」

いくら離れろと言っても聞かないちびっ子達に涙が出そうになる。
俺なんでこんなに気に入られてんの?この着ぐるみのせいか?そうなのか?

「おやおや…」

「好きな奴の趣味が一緒なのか。ま、腐っても兄弟って事だな。」

「いずれ穴兄弟にもなりそうだねぇ。まぁ圭ならいいけどぉ」

「兄弟で、幸せに、する!」

ちびっ子達が俺を引っ張る様子を微笑ましそうに見ている変態生徒会共を殴りつけたいが、ちびっ子の癖に引っ張る力が強すぎて、情けない事に俺の意識はブラックアウトした。

こうして、女の子にきゃーきゃー囲まれるはずだった学園祭は、男共に囲まれて幕を閉じたのだったぴょん。



おわり。

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