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今日は条乃宮学園の学園祭だ。
学園祭3日目の最終日である今日は、学園の生徒ではない一般の人も参加できる日で、いつもより賑わっている。

全寮制の男子校であるこの学園はむさくるしいの一言に尽きるが、今日は違う。

女の子がいる!

条乃宮学園は金持ちの御曹子とイケメンが多い事で有名だ。(ホモばっかだけど)

だから今日はイケメン御曹子とのラブロマンスを求めた女の子達がたくさん来ている。
あわよくば俺もかわいい彼女をつくりたい…!
と、意気込んでいたのに、今の俺は、

「わぁ、かわいい〜!うさぎの着ぐるみだぁ」

「ほんとだ!写メ撮っておこ!」

うさぎの着ぐるみを着せられている。

俺に向けられるフラッシュにうんざりしながらも可愛らしくポーズを決める。
違う。確かに女の子にきゃーきゃー言われてるけど違う。違うぞ。

俺のクラスである3年B組はコスプレ喫茶をしている。
男子校でなんでコスプレ喫茶なんかするんだよ!って思ったけど、ホモばっかの連中に言ったところでどうもできない。

俺はコスプレ喫茶の客引きを任された。
うさぎの着ぐるみを着せられて。

いや違うだろ。
どうせなら俺にもコスプレさせろ。着ぐるみなんて中途半端なのじゃなくてさ。
かっこいいの。

そんで女の子にきゃーきゃーされたい。
クラスの美少年に、あんた平凡顔なんだからコスプレしたって意味ないでしょ?あんた声だけはいいからさ、これ着て客引きしな。といって渡されたのがこの着ぐるみ。

意味ないってなに?客引きにならないってこと?
はいはい!どうせ俺は平凡顔ですよ!
声だけ褒められても嬉しくないっ!

ちくしょう、いいよ、着ぐるみ着てるだけでキャーキャー言われるならやってやる!

そんなこんなで見た目はうさぎ。中身は平凡な俺は必死に客引きをしているのだ。

そろそろ暑くなって来たし涼んでこようと思い、屋上に出るために、階段に近づくと小さく子どもが泣く声が聞こえてきた。

なんだろ?
耳をすませて、声の発信源を辿ると、屋上へと続く薄暗い階段に、数人の子供が座っているのが見えた。

「おにいちゃぁん…どこぉ?」

「泣くなって!俺が探してやるって言ってんだろ」

「そう言って、かれこれ30分は探してますよ?」

「俺も…泣きそう…」

話を聞く限り、どうやら迷子らしい。
周りにいる生徒ははしゃぎすぎてこいつらに気づきもしない。
うーん、俺が助けるしかないか?
丁度うさぎの着ぐるみ着てるし。
子ども相手には丁度いいだろ。


影から顔を出すと、階段に座っている子ども達に近づいた。

「うさぎさん…?」

「あ?なんだこいつ」

「うさぎさんなら僕らを助けてくれるかも知れませんよ?」

「かわいい…」


小学生の中学年くらいかな?
小学生なのに顔が整っている。
ちくしょう、将来有望じゃねぇか。
しかも何か俺が嫌いな奴らの顔に似てる気がする…
まぁ気のせいか。

「どうしたぴょん?迷子かな?」

「う…おにいちゃんとはぐれちゃったの〜」

ぴょんと言った自分に寒気を感じつつ聞いてみると、さっきから泣いていた子が更に目をうるうるとさせた。
それに気づいた3人が、頭を撫でたりして宥めている。

そうだよな、知らないとこで迷子になるのってめちゃくちゃ怖いよなー…よし、

「僕も一緒にお兄ちゃんを探すぴょん!」


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