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めんどくさかった入学式も終わり、俺たちは教室に来ていた。
運良く窓際の後ろの席をゲットした俺は、隣の席の朝野の指を触って遊んでいた。
「うーん…見られてるなぁ…」
「ほっとけば…」
うざったそうに顔を歪めている朝野に苦笑いを零し、周りを見渡す。
教室にいる生徒はもちろん、教室のドアから覗いている生徒達も俺を見てる。
自意識過剰なんかじゃなく!
だって俺が笑うたびにきゃーきゃー言うんだもん!
かわいい!
まさか俺がかわいこちゃんにモテる日が来るとはなぁ…
可愛い物、しかも男の子が大好きな俺からしたら幸せとしか言いようがない。
可愛い男の子が多いって聞いてたけどまじでみんな可愛いよなぁ…。
ここ受験してよかった。
「朝野、ありがとな」
「…なにが?」
「ここ、一緒に来てくれて」
小学校から一緒に居る朝野は、俺がこの学校に入ると言ったら、俺が一人で寮暮らしなんてできる筈がないと言って、わざわざついて来てくれたのだ。
たしかに、家事が出来なかったりとズボラなとこがある俺には寮生活というのは難しいものだった。
だから朝野が一緒に来てくれて安心してる。
もう一度、ありがとうと微笑めば、朝野も小さく笑った。
朝野のかわいさににやにやしていると、野宮くん!と、誰かに名前を呼ばれた。
声が聞こえた教室のドアを見れば、朝野よりも小さくてリスみたいな可愛い子が俺を手招きしていた。
なんだろ?
「ちょっと行って来るな?」
「いってらっしゃい」
朝野に手を振り返すと、俺の名前を呼んだリスちゃんの所に向う。
「どうしたの?」
「…っ、あ、えっと…」
話しかけてみれば、顔を真っ赤にして俯かれてしまう。
俺相手にそんな反応しなくてもいいのに…!
俺只の平凡だよ!?
「ゆっくりでいいよ?」
安心させるように笑って頭を撫でれば、ホッとしたように表情を和らげた。
「あ、あの、僕2年A組の宇佐見 奈央っていいます。」
「あ、はい。俺は野宮裕太です。」
「えと、えと、実は野宮くんにお願いがあって…」
もじもじと指をこすり合わせ、上目に俺を見る宇佐見先輩に首をかしげる。
「…お願い?」
「えと、うん。実はね、野宮くんの親衛隊を作りたいなぁって…」
「しんえい……っは!?」
親衛隊!?
俺に!?俺みたいな平凡に!?
「ちょっと待ってください!俺の顔をよく見てくださいよ!只の平凡ですよ!?」
こんな平凡の親衛隊を作るなんて冗談としか思えない!
俺の言ったように、俺の顔をじっと見た先輩はじわじわと顔を赤くして俯いた。
「野宮くんは平凡なんかじゃないよ…とっても可愛いんだもん」
か、かわいい?
なんか美少年に可愛いって言われるの微妙だな…。
かっこいいとかじゃないの?
いや俺かっこよくないけどね。
うん、かっこよくも可愛くも無い。
そんな俺に親衛隊なんて…。
親衛隊と言えば、イケメンにできる物だ。
確か生徒会の人たちに親衛隊出来てた気がする。
イケメンばっかみたいだしな…。
て言ってもみんな美人系らしいけど。
でも俺に親衛隊ってなぁ〜
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