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イケメンくんに似合いそうな服を上下持って行けば、イケメンくんは俺の手から服を奪い、試着室に入っていった。

どうかなー。
似合ってるかなー?

イケメンくんが着替え終わるのをそわそわしながら待っていると、試着室のカーテンがシャッと音を立てて開いた。

かっこいい…。

視線を向ければ、イケメンくんが俺の選んだ服を上手に着こなしていた。

「どう?」

軽く両手を広げ、全身を見せてくるイケメンくんに、思わず笑みがこぼれた。
自分が選んだ服を完璧に着こなして貰えるのってこんなに嬉しいんだなー…

「すごく…すごくお似合いです!」

うん、すっげー似合ってる。
薄手の黒いアンサンブルジャケットも、軽く腕の部分を捲って裏地の豹柄を見せてておしゃれだし、下に着ている無地の黒いTシャツも
ゆったりしていて、イケメンくんの鎖骨が見えていてセクシーだし。細身のパンツも、すらりと長い足を強調させていて似合ってる。

思っていた以上に似合っていて、興奮したように褒めれば、イケメンくんは口の端を少し吊り上げて、ふーんと呟いた。

「…かっこいい?」

「かっこいいです!」

チラリと流し目で俺を見ながら確認してきたから、力強く肯定した。
だってめちゃくちゃかっこいいもん。

「ふぅん?アンタがそう言うならかっちゃおっかな。」

顔を横に向いたままそう言うイケメンくんを見れば、耳が赤くなっていた。
褒められて恥ずかしかったのかな?かわいいじゃん。

「お買い上げありがとうございますっ」

イケメンくんが可愛くて、思わず頬を緩ました。





「当店のポイントカードはお持ちですか?」

お会計をする際にそう聞けば、ゆるゆると首を振られた。
そうだよな、この店で結構働いてるけどイケメンくんの事見たの今日が初めてだし。

「作られますか?」

カードを見せながら首を傾げると、何かを考える素振りを見せ、暫くすると首を縦に降った。

「ではこちらにお名前とお電話番号の記入をお願いします。」

ボールペンと紙を渡せば、ガリガリと記入しはじめた。
綺麗な指だな…。色白いし細い…。爪も綺麗。
ついでに字も綺麗。

イケメンくんの指を眺めていると、名前を書き終え、電話番号の記入をしていた。

からすま、れい…。
烏丸 怜って言うのか。名前までかっこいいな。

「書けた。」

綺麗な字で描かれた名前を見ていると、書き終えた紙を渡される。

渡された紙を受け取り、カードを差し出すと、カードを持つ手ごと握られた。

えっ、なんだ?
俺よりも高い温度に手を包まれ、びっくりして震えると烏丸さんがクスリと笑い肩を揺らした。

「俺の名前、覚えてよ?そのためにめんどくさいの我慢してカード作ったんだからさ。」

「え…っ?」

思わず烏丸さんの顔を見れば、渡したカードで口元を隠し、顔を背けていた。
頬はやっぱり赤くて、その表情に見とれていた俺は、気がつけばこくんと頷いていた。

「あんたが着てる服似合ってる…可愛い。」

「……っ。」

早口にそう言うと、買った服が入った袋を手に持って、お店を出て行った。

「あ…行っちゃった」

似合ってるって言われたのにお礼言えれなかった…。
しかも180近い身長の俺にかわいいって…。
女の子にモテるためにおしゃれしてたはずなのに、女の子に似合ってるって言われた訳じゃないのに、何故だか俺の顔は真っ赤に染まっていた。

もう少し話したかったな…。
服の趣味もきっと合うし。

先ほど烏丸さんが記入した紙をファイルに入れようとすると、あるものが目に入った。

「…電話しろ。メールもな、しないと次店に行ったときに怒るから……これって…」

紙の隅にある空白の部分に、烏丸さんのアドレスらしきものと、俺宛のメモ。

烏丸さんとの繋がりができたことに、女の子に話しかけられた時以上に喜んでいる自分がいた。

「お前、次からさっきの奴の接客禁止」

いつの間にか側に来ていた成田にそう言われ、首を傾げる。
なに拗ねてんだこいつ。

「なんで?」

「なんででも!」

成田はガシガシと力強く俺の頭を撫で、精算をし始めた。
精算し始めた成田を見て時計の時間を確認すれば、閉店時間の十分前だった。

もうそんな時間か…。
…バイト終わったら電話してみようかな…。

「成田、早く終わらせて早く帰ろーぜ」

また烏丸さんと話せる事が何故だか嬉しくて、それを不思議に思いつつも、烏丸さんと電話することを想像して頬を緩ませた。



おわり。
続きがかけたらいいなと。
きっと烏丸くんは一目惚れ

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