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俺は平凡顔だ。
かっこいいわけでもなくて、だからといって可愛いわけでもない。
つまり、モテないのだ。

それでも、高二という青春真っ盛りな今、俺は恋がしたい。
彼女がほしい!女の子大好き!

だから俺は、平凡な顔を誤魔化すように、見た目に気を使いまくった。
髪色は落ち着いた茶色で髪型はちゃんとワックスをつかって整えている。
普段着も、流行りのものを取り入れたり。
彼女ほしさに、おしゃれをしていたはずが、いつの間にかおしゃれをするのが好きになっていた。

服を買いに行くのも大好きだ。
おしゃれをしても結局彼女なんかできていないけど、おしゃれはそれでも続けていた。

そんな俺は、メンズショップの服屋のアルバイトをしている。

今日も学校が終わり、アルバイトに勤しんでいる。
崩れた服を畳んでいれば、お客様の来店を伝えるチャイムがなった。

「いらっしゃいませー」

自動ドアから入ってきたお客様に、笑顔で挨拶をしようと顔をあげれば、とんでもないイケメンが入ってきていた。

漆黒の黒髪をワックスでふわふわ立たせていて、服装も細身の身体にあっていて、シンプルで大人っぽくて、とにかく完璧だった。
顔も中性的で驚くほどイケメンだ。
同い年くらいかな?
身長は180近くある俺よりも少し小さいけど、それでもスタイルがすごくいい。

レジ付近にいる俺と同じでバイトの成田が、イケメンだな。と口パクで伝えてきた。
それに、お前もイケメンだろ。と口パクで返せば、まあなとでも言うようにニヤリと笑われた。
後で殴る。

てか、イケメンでおしゃれって完璧じゃねーか…憧れるなぁなんて思いながら視線をイケメンくんに戻すと、イケメンくんが俺の事を上から下まで、眺めるように見ている事に気がついた。

え、なんでこんな見られてんの?
少し居心地が悪く感じるけど、相手はお客様だから、にこって愛想笑いをした。

俺の愛想笑いを見たイケメンくんは、ほぅ、と小さく息を吐くと俺がいる店の奥へと近づいてきた。

こっち来てる?俺の方にいい服でもあったのかな?
俺のすぐ近くにきたイケメンくんを見ると、耳にピアスを付けているのが見える。

あ、あのピアス俺が好きなブランドのやつだ…。

シンプルなクロスのピアスは、以前雑誌にのっていて、あまりの高さに諦めたものだった。
すげぇな、金持ちなのかなー。

「ちょっとアンタ、てきとーに服見繕ってほしいんだけど」

「……えっ?」

今の綺麗なテノールの声は、確かにイケメンくんから出てきたものだった。

え、アンタって俺?

首を傾げて自分を指差すと、イケメンくんは咳払いをし、拳を口に当てて顔を横に背け小さく頷いた。
頷いたって事は俺に話しかけたって事だよな?

「えっと…俺があなたの服をお選びしてもいいんですか?」

「さっきからそう言ってんだろ」

俺が確認をするように聞けば、早くしろとでも言わんばかりに眉間にシワを寄せられた。

「か、かしこまりました!」

慌ててイケメンくんに似合いそうな服を探しに行く。
ほんとに俺が選んじゃっていいのかな?
服をコーディネートするのは好きだけど、イケメンくんと俺の服の趣味が一緒とは限らないし。
俺はもっぱら古着が好き。
でもイケメンくんは古着って感じじゃないし…
イケメンくんに似合いそうなのを選べばいいか…


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