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「ほら、口についてんぞ…」

「桜はドジだなぁ〜、かぁわいっ」

「は、はずかしいよぉっ」

目の前の光景に思わずため息がでてしまう。
美少年の口元についたご飯粒をとってあげる美形男子2人組。
いまではすっかり見慣れてしまった光景だ。
幸い、屋上に昼ご飯を食べにくるのは俺達だけなので、俺以外に見ている人はいないけど、男同士でそのやり取りはちょっと無い…。

といっても、俺も数週間前まではあの美形2人組に世話をやかれていたんだけどな。
あーんをして食べさせられたり、甲斐甲斐しく口元を拭かれたり…まぁ今では俺にではなく、美少年にしてるけど。

数週間前、クラスに可愛らしい転校生がやってきた。
可愛らしいと言っても、ここは男子校なので残念ながら女の子ではない。
ふわふわの金髪にぱっちりした青い目、ふっくらした唇に、桜色に色づく頬。
むさくるしい男子校に転校してきた美少年、中野桜は転校して瞬く間に人気者になった。
可愛らしい顔に、ドジでほわほわした性格は今まで男に囲まれてきたやつらには癒しになったらしい。
今まで俺に必要以上に世話を焼いてきた高良と南野もそうだったらしく、今では中野にべったりだ。

中野は俺の隣の席で、転校初日にお昼ご飯を一緒に食べてもいいかと誘われてから、いつも一緒に食べていた高良と南野も含め4人で食べるようになった。

一緒に食べるようになってからは
、高良と南野は中野に構いまくりだ。
最初は見ていて微笑ましかったが、それが何日も続くとなんだかさみしくなってくる。

前まではあのポジションは俺だったのに…

前は世話を焼いてくる二人にうんざりしていたし、うっとおしくも思っていたんだけどな…

いざこうやってほっとかれると悲しい。
俺ってやな奴。

わいわいと楽しそうにご飯を食べている三人を見て、本日何回目かのため息をはいた。



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