今日は日曜日だから、わたしもあなたも仕事がお休みだ。

意味もなくメールを送ってみたり、今何をしているか電話をしてみたり。そうしたらめんどうだから会おうという結論に達した。

会うという行為に対して、わたしの心臓がドキドキいって、その音はなり続ける。
あなたはきっと、これは日常の一ページにすぎないからそんな感情を持たないんだろうけれど。



わたしの家とあなたの家からの中間地点にある小さいハンバーガーショップでわたしが食べるものは、食べ方がきたなくみえないナゲットやポテト。それを「少食だな」とばかにするあなたは、ハンバーガーをぱくりと口に運んだ。

ここからして違うんだ。

わたしは緊張して食べものが喉を通らないのに、あなたはそんなことないみたい。






わたしがあなたに抱いているこの「すき」という感情と、あなたがわたしに抱いている「すき」という感情にはどうやら違いがあるようだ。

そんなことわかっていた。


「すきだよ」

「俺もすきだ」

「ううん、すきなの」

「は?だから…」

「ライクじゃなくて、ラブって言えばわかってくれる?」


いきなり日常会話の中からでてきた わたしのキモチに、あなたは驚きを隠せないようだ。だって、さっきまで微笑んでいた顔がひきつってゆく。

熱いココアが注がれているカップにそえてあったわたしの手は、震えはじめて、あなたの顔が少しだけ霞んでみえて、ああ泣きそうなんだなあと自分のことなのに他人ごとのように感じた。

わたしが声を発しようとすると、ぴくりと小さく反応するあなたの手を、わたしはただぼんやりと眺めることしかできなくて。

なんでも言えよ、相談しろ、俺に頼れという言葉をきいて思っていたのは、いやいやあなたのことをあなたに相談するなんて無理だからというわたしの複雑なキモチ。
こんな複雑すぎるわたしのキモチを理解して欲しいわけじゃない。理解して欲しいわけじゃないはずなのに、わたしは本音を口に出してしまった。


「ごめんね」


「ごめんね」


「すきになって」


「ごめんなさい」


この関係を崩したのはわたし。親友というこの関係を嫌だと思っていた、気まずくなってもいいからわたしはあなたにすきだと言いたかった。そうすることで、わたしの中の何かが変わってくれれば、前に進めるような気がしたんだ。

彼氏はいらない。もてなくていい。 あなたが好きと言ってくれるだけで、わたしはしあわせになれるのに。
両思いって大変だ。


すきだよとごめんねを何度もつぶやくわたしを包みこんでくれる体温は、もうどこにも存在しない。







そんなことはしたくない。だからわたしは、今日もあなたに嘘をつきながら過ごすんだ。


「しず、一週間ぶり!」

「おう」

「彼女できた?あ ごめんねできるわけないよね、仕方ないからわたしがなってあげる…」


「うそだけど!」


苦しいくらいのすきをあなたに。

カランカラン、とアイスミルクティーの氷が涼しげな音をたてて、わたしをむなしくさせた。


recycle:-)
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