優劣のついた、まったく違う愛のかたち | ナノ
暴力表現注意。



ぎしりと骨が軋んだような音がした。胃の奥の方からなにかがせりあがってきて、行就は慌ててそれを奥へと追いやる。
今度は唇が切れた。咥内に広がる血の匂いと鉄の味に今更嫌悪感などわいてこない。強いて気になるとすれば自分の血で汚してしまったであろう着物や拳だろうか。ぎしぎしと身体が悲鳴をあげる。
朦朧とする視界の端、振り上げられた細い腕がうつった。


目を開ければ辺りは変わっていた。見慣れた、けれど先に居た部屋とは別の部屋に行就は横たわっていた。
重い身体を起こすと骨が軋む。と、ぐらりと視界が歪んだ。思わず腕を使って身体を支えようとして、それより先に伸びてきた腕に抱き寄せられる。
「…源チャンか」
「おう」
返ってきた声はやはり行就の予想通りのものだった。
源は行就を支えたまま口を開く。
「征美様はもうお休みになった」
「そう」
行就は改めて自分を見る。切れたはずの唇は血が拭ってあった。服も違う。けれど包帯などは巻かれていない。
「ボクを此処に移動さしたのも源チャンやろ?着替えさしてくれたんもゼェンブ。ならなんで包帯はないノ?」
口に出してから自分の口許がつり上がるのを自覚する。それから相手の顔が歪むのが分かった。
「…わかってて言ってるやろ」
「どうやろうネェ」
否、わからない筈がなかった。源が包帯を巻かないのは、そもそも行就がその行為を拒絶したせいだ。征美から付けられた傷を隠すなど行就には考えられなかった。だから包帯などは必要ない。源は行就がそう考えていることを知っている。そして行就がどんなに征美に依存しているかということも、源は知っていた。

ぎゅう、と行就を抱き寄せる腕に力が入ったのがわかる。酷いことをしている。そんなことはもうとっくにわかっていた。
「なんや、エラい甘えんぼサンやなぁ源チャンは」
俯いた唇がなにか言いたそうに動く。けれど行就はそれを許さない。一度遮ってしまえば源はそれ以上口を開かなかった。黙ってしまった男の背に行就はするりと腕を回す。更に近付いた距離で、行就は愛する彼がちいさく己の名を呼ぶのを聞いた。




優劣のついた、まったくちがう愛のかたち
絶対と、恋慕






>>>ふーちゃんから頂いてきました!何これちょう萌える…!
切ねぇぇ!源さん切ねぇぇ!
あ、ちなみに最初に行就さんフルボッコしてるのは征美様です。
征美様に絶対忠実だけど源さんが好きな行就さんと黙って見てるしかない源さん…!私の涙腺が崩壊どころの騒ぎじゃない!
もうふーちゃんは私の脳内をスキャン出来るんだよね。そうじゃないとこんな私の想像通りの源行書けないよ…!
ふーちゃん有難うマジ大切にする超する!
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