「ん…なんや、寝とるん」
つんつん、とつついてみても起きる気配のない恋人。疲れた顔をして帰ってきたので、先に風呂に入らせておいて正解だった、と思う。冷蔵庫に貼ってある彼女のシフト表を見て、ロックのかかっていない携帯電話にアラームをかけてやった。疚しい事なんてない、という表れでもあるのだが不用心だな、とも思う。ソファにぐったりと身を投げ出しているのは珍しく、今度は自分の携帯電話のロックをといてカメラを起動する。パシャ、とそこそこ大きな音が鳴ってしまったが起きる気配はひとつもなかった。…これは疲れた時にこっそり見よう。
「っ、と」
起きてしまわないようにできるだけ優しく抱き上げてベッドまで運ぶ。そっと降ろして自分も横に寝転び、頭の下に腕を入れて布団を肩まで引き上げる。二の腕の辺りですぅすぅと寝息をたてる愛しい恋人をそっと抱き寄せて、頬にぴたりと唇をつける。
「おやすみ」
明日の朝、ありがとうと何度も言うのが目に浮かぶなぁと思いながら、自分も目を閉じた。

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