いつもはアラームの少し前に目が覚める私も、日曜日ばかりはそうではない。普段より早い起床時間とけたたましい目覚ましの音楽に眉間に皺を寄せながら、まだ寝ていたい、起きたくない、眠たい、と枕に頭を擦り付けて布団の中の温もりを堪能してしまう。そうして意識が再度遠のきかけたところで、あまく柔らかな彼の声が私の名を呼んだ。

「起きんと間に合わんくなるで」
「…んん」
「ほれ、はよ起き」

布団を捲られ、両腕を引っ張られて上体が起きる。目を擦りながら欠伸を漏らせば、既に着替えを済ませているろしょくんが呆れたように笑った。もう一度手を引かれ、洗面所へと送られる。手際よく朝ごはんの支度をしながら私のために甘いココアをつくる彼の背中を見て、ゆるゆると口元がだらしなく歪んだ。

冷水で顔を洗い、簡単なスキンケアをしてリビングへ戻る。まだちょっと眠いなあ、と思いながらろしょくんに後ろからぴったり抱きついた。広くて大きな背中は、酷く安心する。

「ん、起きたか?」
「おき……ん、 」
「半分寝とるやんけ。しゃあないなあ」

お味噌汁を温めていた日を止めて、ろしょくんが私の手を引いて歩く。寝室に置いてある箪笥の前まで来て、向かい合わせ。私に視線を合わせるようにかがんで、ちゅ、と額に触れるだけのキス。言葉では呆れているけれど、結局、ろしょくんは世話焼きで、私は甘えたなのだ。

「はよ着替え」
「んー」

ろしょくんの大きくて骨ばった、男らしい手が私のパジャマのボタンをひとつずつ、丁寧に、まるで壊れ物に触れる様に外してくれる姿が心底好きだった。全て外し終えて、再度視線がかち合う。いつもは見上げているろしょくんの顔が、今は同じ高さにある。

「おはようさん。着替えたらご飯やからな」
「うん、おはよ。ありがとう」
「おう」

ぐしゃり、とセットされていないからと言っていつもより強めに撫でつけられた頭。すれ違いざまに彼の笑顔が見えたので、ああ、眠いふりしたのばれているんだろうなあ。と思いつつ、着替えを済ませて彼の元へと戻った。今日も頑張れそうだなあ。

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