いつ着信があってもでられるように、と眠る時は常に最大音量の携帯電話の震えで目が覚める。ディスプレイを見ることなく、ほとんど反射で電話を取れば、機械の向こうから聞こえてきたのは職場の後輩でも同期でもなく、愛しい恋人の声だった。

『おはようさん。まだ寝とったな?』
「んむ、ん、ろしょくん…なに、」
『ちょぉ用事できてしもてな、朝早くに家出たんよ。気持ちよさそうに眠っとったから起こさんかった。…て、ちゃんと言わな寂しくて泣いてしまうかもしれんやんか』

くくく、と喉を鳴らして笑う音が聞こえる。徐々に覚醒していく脳と、未だ上手く回らない口。それでも揶揄われていることはわかるので拗ねた声色で返事をした。

「かえりおそい?」
『昼頃には帰っとるな。…そろそろ起きんと間に合わなくなるんちゃうの』
「えっ、あ!」
『急ぎすぎて転ばんようにな。弁当置いとるから忘れんで持ってき。ほなまた夜にな』
「うん!ありがとう!」

寂しくて泣いてしまう私のために、ももちろんあるのだろうけれど。これはろしょくんも寂しかったんだろうな、と思って上機嫌に支度を始める。まったく、かわいいひとめ!

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