ぱちぱち、と大きな音が鳴る。次いですぐに鼻腔をくすぐる甘いにおいに気分が高揚した。

「何しとん」
「べっこうあめ!」

またやっとる、とでも言いたげに台所へ頭を覗かせたろしょくんに「べーっ」と舌を出せば「口で言うなや」と笑われた。火を止めて冷ましている間、不意に後ろから抱きしめられる。

「ろしょくんのぶんもあるよ」
「ん。ありがとうな」
「いちばんうまくできたのあげる!」
「苦めがええな」
「そう思って焦がし気味だよ〜」

すん、と首元で音がする。同じ柔軟剤を使って、同じシャンプーで頭を洗って、同じ場所で生活しているというのに ろしょくんは私をええにおいだ、と言うのだ。

「かみのけこしょばいよ」
「ええやろ、だめか?」
「だめじゃない!」
「はは、なんでそんな自信満々やねん」

にゅっとろしょくんの腕が後ろから伸びてきて飴が入ったアルミのカップを持ち上げた。器用にペリペリと剥がして、歪な形の半分こをして、片方を私の口に入れる。

「ん、おいひ」
「うまいなあ」

買ってきた飴も、常備してあるのど飴もあるというのに。時折こうしてつくるべっこう飴が、私達は大好きだった。

「あとあっちで食べよ」
「なんか飲むか?」
「んん、いらない!」

彼の好きなプリンの、カラメルに近い味がするからかもしれないな。

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