定時を30分ほど過ぎた頃、ようやく携帯電話を手に取ればろしょくんからの着信が数件。まずいなぁと思いつつまだ電話は出来ないのであと15分くらいです、とだけメッセージを送った。鞄に携帯電話をしまい、大急ぎで洗い物を済ませて後輩の作業を手伝う。明日の準備と、提出書類と、ああ、あれも、これも。

「他やっとくことなさそ?帰るよ?」
「はい!お疲れ様です」

パタパタと店内を駆け回ったあと、残業を終えて後輩に手を振った。ろしょくんに終わったよ、と送ればすぐに返ってくる「おつかれさん」のメッセージ。ロッカーで着替えを済ませてから待ち合わせ場所の玄関にあるベンチに座り、彼の迎えをぼうっと待っていた。

「ん、おつかれさん」
「っえ」

かさりとビニール袋の音を鳴らしたろしょくんが、外からではなく店内から歩いてきて思わず変な声が出る。開いた口が塞がらない私にろしょくんは喉で笑い、流れるような動作で私の手を取って外へ。見慣れた車の前で立ち止まり、助手席のドアを開けられた。促されるまま乗り込んで、彼の顔を見つめる。

「これ、好きそうやから買ってもうた」

そう言って差し出されたのはハニーラテと描かれた可愛らしいカップ飲料だ。わあ、かわいい、おいしそう。と、口に出して言えば、そうやろ?と得意げに返ってくる。

「無駄遣いって言わんといてな」

口角を上げて、私の頭をクシャりと撫で、それからエンジンのかかる音。疲れた体に彼の優しさが染みて、なんだか泣きそうになってしまった。悟られないように窓の外を見つめる。

「ろしょくん」
「んー?」
「コンビニ寄ってください!」
「ええよ」

ろしょくんが好きそうなプリン、コンビニにあるといいなぁ。

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