膝から下がじんわり痛い。体がぽかぽかで、視界がぼやける。テレビから聞こえる笑い声も、斜め前から聞こえる教科書をめくる音も、時折ボールペンが紙を引っ掻く音も、隣に感じる体温も、疲労感ですら心地良く感じてしまう。
どろり。と、思考が溶けていく。こうなってしまっては、もう動けそうにない。

「…ん、寝るん」
声は聞こえるのに、返事ができない。真っ黒な視界の中、彼の吐息が微笑みを感じさせた。ぐらぐらと頭が揺れて、それをそっと支えられる。彼の髪の毛が首にかかってこそばゆい。

寝たくない、もっと一緒にいたい。でも眠たい。夢の中でも会いたい。そんなことばかりが浮かんでは消え行く。

「久々の仕事疲れたんやろなぁ」
うん、頑張ったんだよ、ちゃんとできたよ。
「おつかれさん。ようできました」
ろしょくんも、今日もおつかれさま。
「ちょぉ早いけど寝てまうか」
ええ、もったいないよ、
「ええよ。そのまま寝とき」

ぐらり、ふわり。柔らかな浮遊感と、彼の足音。それからそっとどこかに下ろされて、スプリング音。丁寧に布団を引き上げてから、全身に彼の体温。硬い腕の感触と、優しい心臓の音。くしゃりと頭を撫でてから、ちゅ、と額に口付け。目を閉じたままでも、こんなにわかるよ。幸せってこと。

「おやすみ。また明日な」
うん、おやすみろしょくん。またあした、起きたらちゃんとありがとうって言うからね。

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