「何食うてん」
「ひゅーくりーむ」

おやつの時間は過ぎちゃったけれどお腹がすいたの音が鳴ったのでシュークリームを頬張りながらサボテンを見つめていた時のこと、溜まった録画番組を見終えたらしいろしょくんに後ろから声をかけられた。食べる? の意味を込めて差し出せば、ばくり、と大きな口。

「ん、あま」
「コンビニのシュークリーム、なーんかおいしんだよね。たまに食べたい」
「あー、わかるなぁ。なんやろね、全然さくさくしてへんのにな」
「ねー」

私もろしょくんも甘いものには特別こだわりがあるので買うならお菓子屋さんで、が染み付いたのは同棲してすぐの事だった。コンビニのお菓子をこうしてはんぶんこするのは、まだ私達が一緒に暮らしていなかった頃によくしていた行為で、なんだかそれが酷く懐かしい。

「育ったなぁ」
「ね!はやくお花咲かないかな〜」
「これ花咲くん?」
「そだよ〜ピンクの綺麗なお花咲くの!1個じゃさびしいと思うからもいっこ買おうかな…」
「サボテンにも寂しいとかあるん?」
「あるよ!絶対ある!きっとさびしがってると思うの。ね〜」

もちろんサボテンに話しかけても返事はないのだが、何事も愛情を込めて育てた方が良いに決まっている。お日様を気持ちよさそうに浴びているサボテンを見つめながら、かわいいな、と今日もこぼす。

「ほなお前がもうちょい元気なったら買いに行こか」
「えっ、いいの?」
「良いも悪いも、これも俺があげたやつやんか。こないに大事にしてもらっとるならこっちも嬉しいもんやで」

そうっと、軽くサボテンに触れたろしょくんがこちらを向いて笑うので、自然とこちらもにこにこの笑みがこぼれた。手に少しだけ残っていたシュークリームをろしょくんにあげて、それからちゅう、とキスをする。あまい、生クリームとカスタードクリームのあじ。

「あま!」
「お前がしてきたんやろ」
「んひひ、あま〜〜〜」
「もっかいするか?」
「え!する!」
「ん、」



口内からクリームの余韻が完全になくなったって、きみとのキスが蕩けて甘いことを、私は今日まで知らなかったんだなぁ、と またひとつ、ろしょくんとの思い出が増えていくことに喜んだ。

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