車を走らせてから20分は経つ。黒のタートルネックに灰色のコートを着たろしょくんの運転姿に見とれながら、まだかまだかと目的地に着くのを待つ。ろしょくんの好きな音楽と、私の好きな音楽が交互にかかる車内で意味も他愛もない会話を繰り返す。時折花が咲いては笑い、それを繰り返しているうちに到着した。

「わあ〜おしゃれだね」
「せやね。パン売っとるけど帰り買うてく?」
「うん!明日の朝ごはんにしよ」

案内されるがまま席に着いてメニューを開く。町外れにある牧場直営の喫茶店。前々から行きたいと言っていたので一緒に来れて嬉しい。コーヒーを選んだろしょくんがメニュー表のココアを指さして笑う。

「甘いのあってよかったな」
「よかった〜!ごはんなににする?」
「ん〜、これかなぁ」

ろしょくんが選んだのは日替わりランチで、今日のメニューはオムそばだ。何も言わずとも店員さんを呼び、コーヒーとココア、それから日替わりランチとオムライスを頼んだろしょくんににやけてしまう。オムライスは私の大好物だ。

「置き物かわいいねぇ」
「せやね。七人の小人か?」
「うん!うちにも欲しいなぁ」
「足に落として痛い言うのが目に見えとるわ」

くつくつと喉を鳴らして笑うろしょくんをじとりと睨みつける。彼の言う通り、きっとそうしてしまうだろうからそんなことないもん、と言えないことがもどかしい。窓から見える草原の上には牛がたくさん歩いていて、模様の違いにあの子がかわいい、だとかあの子は真っ黒だね、だとか。そうこうしているうちに飲み物とご飯が運ばれてくる。

「わー!おいしそ!おいしそう!」
「ケチャップ飛ばしたらへこむんやから気をつけてな。いただきます」
「はぁい、いただきまーす!」

ふたりで手を合わせていただきますをして食べ始める。良い卵を使っているだけあってふわふわで、とってもおいしい。おいしい、と口に出せばろしょくんが幸せそうにこちらを見つめていた。

「ほれ、口あけ」
「あーん」
「ん。…うまいか?」
「おいひぃ〜!」

アホ、口に物入れたまま喋ったらあかん。と、聞いてきたのはろしょくんのくせに。
自分のオムライスもスプーンにできるだけ沢山乗せて彼の口もとまで持っていく。ばく、とスプーンに噛み付くろしょくんが、実は結構好きだったりする。

「ん、うま」
「うまうま〜」
「遠くまで来てよかったなぁ」
「ね!また来たい!」

まだ食べ終わってもいないのに次のことを話し合う。次はこれが食べたい、だとか違う季節にも来たい、だとか。彼の未来に当たり前に自分がいることが嬉しい。

「ごちそうさまでした!」
「ご馳走様でした」
「デザート!たべよ!」

今度は私が店員さんを呼ぶ番だ。おしぼりで口を拭いているろしょくんを他所にプリンパフェとあんみつを頼む。これもろしょくんと食べ合いっこ。プリンはろしょくんの大好物だ。

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