甘く柔らかい暖かな、母親の眼差しのような優しさが与えられている。手足の先が熱を帯びていて、その先に愛しい人の温度を感じた。ほんの少しだけ見える世界には大好きな彼の色が広がっている。

「…ろしょ、くん……?」
「ん、起きたんか。…まだ寝てたらええよ。お日様昇っとらんし」

うん、と声にできたかどうかわからないほど体の自由が聞かなかった。頭をかきまぜられる感覚が心地よくて世界が閉じていく。ひとりにしないで、と言わなくてもわかるのか熱い指先が握り込まれる。ふくらはぎに触れる彼の筋肉質な脚は少しだけ冷たい。

昨日の記憶が無い。あれ、ごはん、つくったっけ? 帰ってきて、ろしょくんはまだいなくて、あれ、それから、ソファに座って、その先がない。

「寝なさい」

脳髄を溶かすような、蜂蜜のような粘度と甘さを持った言い聞かせ。ああもしかしたら、夢の中なのかもしれないな、なんて。

「だいすき」
「ん、ありがとう」

前髪を掻き分けられて、それから瞼に僥倖を感じる感触と温度。引き寄せられる体。くっついた先は、同じくらい熱かった。

「おつかれさん。…無理せんでな」

起きたら素敵な夢を見たのと、世界でいちばん愛しい人に伝えたいな。

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