「ろしょくん、起きて、ろしょくん!」
「ん…、ん〜、なんやねん……」
「起きて!学校から電話!」
「は!?」
がばりと勢いよく起きたろしょくんが慌てて携帯電話を耳に当てる。何度鳴っても起きないものだから、代わりに出て一言謝ってしまったのを起こるだろうか。真剣な顔つきで相槌を繰り返しているろしょくんをベッドに置いて朝ごはん作りを再開する。ちなみに今日のお弁当の卵焼きは自信作である。
「すまん、おはようさん。早くに出てくことになったわ」
「うん、おはようろしょくん!大変だね、おべんとできてるよ〜」
ありがとう、とすれ違い様に頭をくしゃくしゃと撫でられてえへへ、と口から溢れ出た。今日がパンの日でよかった!と、ちょうど焼きあがったホットサンドをアルミホイルに包む。歯ブラシをしゃこしゃこと動かしながら朝のニュースを流し見しているろしょくんの前にホットコーヒーが入ったマグカップを置いて、着替えるためにリビングを出た。身支度をさっと整えて戻り、行ってくるねと声をかけようとしたところでろしょくんと目が合う。
「俺も今出るから送ってく」
「え!いいの?」
「おん。通り道やし」
最短ルートで行けば、私の職場は通り道にはならない。
「間に合う?」
「起こしてくれたから間に合うわ。朝飯食えんくてすまんな」
「へへん!なんと運転しながら食べれるのだ!」
そう言ってまだ温かいホットサンドを手渡せば、からからとろしょくんが笑う。
ふたりで玄関を一緒に出て、行ってきますと口を揃えた。ろしょくんが鍵を閉める。車に乗るまでの道のりで、忘れ物確認もしっかりと。
「今日もがんばろうね!」
「せやね。頑張ろな」
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