「ろしょくん」
「ん、」
「ラジオ、がんばってね。ちゃんと聞いてるからね」
「なんや改めて言われると恥ずいな。…ありがとう」
「うん」

目を合わせているのに耐えられなくて俯けば、彼の綺麗な指先が私の顎を掠めとって持ち上げられる。まっすぐ、私だけを見つめている宝石みたいにきらきらした目。それに対して、わたしは。

「…お前だけやから」
「え…?」
「ぎょうさんお便りもらっとっても、どんだけ綺麗な人がいようとも、俺が好きなのはおまえだけやよ。やからそんな不安そうな顔しんで? それに、言ってくれなわからんこともあるんよ。ちゃんと言うて? 全部受け止めたるから。俺がここにおんねんぞ、ってなんぼでも言うたるわ」

少しだけ照れくさそうに、それでも視線は逸らさずに。一瞬、伏せられた目元から覗く睫毛が綺麗だ。

「しっと、する…。女の子からのおたより、よむじゃん…」
「おん」
「ろしょくんのこと、ろしょうくんって呼ぶ人、きっといるもん。ろ、ろしょくんは、わたしの、わたしが…」

赤ちゃんのように声をあげてみっともなく泣きだす私に、ろしょくんは頻りに柔らかな笑顔をくれていた。言語がままならなくなり、嗚咽に飲み込まれそうになったところでそっと、鼻に降ってくる可愛い好きの形。それから目尻を下げて、愛しいとでも言わんばかりに頬を緩ませる。セットしたばかりの私の髪の毛を乱すようにわしゃわしゃと頭を撫で、涙を指で拭われる。ろしょくんの指は、いつもやさしい。

「なぁ。俺の名前、呼んで?」
「ろしょくん…?」
「おん。もう一回」
「…ろしょくん」
「よくできました」
「っ、ろ、しょくん…」
「うん。なあに」

好きだと、大好きだと言う前に唇を唇で塞がれてしまう。舌が絡まるわけでもなければ何度も重ねるわけでもない、中学生でもできる可愛らしいキス。私がこれをいっとう好きなことを、ろしょくんは知っている。

「終わったら好きなだけわがまま聞いたるからな」
「ぎゅてしてもらう…」
「アホ、そんなの頼まれんでもするわ」

私より私のことを、それこそすべてをわかりつくしているろしょくんのお悩み相談室は、きっとためになる話ばかりだろうな なんて思いながらも ここにある体温は私とろしょくんだけのものなのだと、信じて疑わない。

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