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「財前くん!数学のノート集めてるからだして」

「ん」


朝。遅刻ギリギリのところを先生に見逃してもらったら、パシリにされ数学のノートを集める。この財前光くん、同じクラスで隣の席。中学に入学して1ヶ月も経つというのに、つまんなさそうな顔ばっかしてる人。


「財前くん、財前くん。部活とか何にした?」

「決めてへんけど」

「えー!?そうなん?早よ決めたほうがええで!皆もう練習とかし始めてるで?」


あ、そ。と興味なさそうに言うた財前くん。偉そうなこと言ったけど、実は私も部活決めてへん。財前くんはイヤホンを耳に差し込もうとしたところでふいに私をじっと見た。え、何?ちょっと照れる。財前くんって結構整った顔してるから。


「お前、誰?」



んのおおぉぉおぉ!え、今なんて言いました?誰?って聞いた?入学して1ヶ月間隣の席だった私を覚えてへんわけ!?うそやーん!


「と、隣の席の葛城千奈と申します」

「ふーん。隣の席の奴か」


何で覚えられてへんのや。最初に自己紹介したやろ!私はクラスメイトならほとんど仲良うなったで!?休み時間に、小学校からの親友である真衣の席でぶーっと頬を膨らましていると、真衣にべしっと叩かれた。地味に痛いねんけど。


「変な顔せんといて」

「うえー。変な顔って失礼な」

「で?どないしたん」

「だって財前くんに、お前誰って聞かれてん!もう1ヶ月も隣の席やったのに存在感なかったんやで、私!」

「ドンマイ」

「うおぉ!軽くね?」


ふと財前くんを見てみると、外を見ながらどうやら財前くんと同じ小学校だったらしき山田くんとしゃべっていた。財前くんっていつも冷たいし、授業とかでも全然笑わへんし、それで楽しいんやろか?



隣の席の財前君は無愛想です

(そんな財前くんの日常は)
(次の日から変わった)



END





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