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千歳先輩と手塚さんの変則シングルス戦。

手も足も出ない財前くんにかける言葉すら見つからなかった。謙也先輩が言うとった財前くんのこと見とってやというのは、きっとこのことやろう。勝つためには仕方ないことやし、財前くんもそれはわかってる。わかってるからこそ、何もできなくて悔しいんやろな。


そして一方の試合は、なぜか千歳先輩の絶対予告が打ち破られた。


「うせやん。千歳先輩の才気煥発が…」

「なんでや。なんで千歳の予告が当たらんようになったんや」


謙也先輩がそう言うと、オサムちゃんはわからへんと言った。オサムちゃんにもわからへんなんて…。どうなってんねん!しかも手塚さんは次は1球でいいとか言い始めた。


「まさか、手塚の奴」

「え、どういうことなんですか?」

「才気煥発に目覚めたっちゅーことやろうな」

「そんな…」


そして手塚さんは、ホンマに1球で決めた。才気煥発って誰でも出来るもんちゃうんやろ?無我のなんちゃらの奥とかいうやつやろ?それをいとも簡単に見極めた手塚さんってすごすぎやろ!

そこからの試合は早く過ぎ、6−1で決着はついた。手塚さんの勝利やった。うちら四天宝寺中は準決勝で惜しくも終わってしまった。試合を終えてベンチに戻ってきた財前くんと目が合った。何て声をかけたらええんやろ、とずっと考えてたけど、結局良い言葉なんて思いつかへんくて、


「お疲れ」


その言葉で精一杯やった。財前くんは、ふっと鼻で笑って、私の頭を叩いた。


「いったー!何で叩かれなアカンねん!」

「もっとええ言葉かけろや」

「なっ!しゃーないやん!何も思いつかへんかったんやから」

「ま、ない脳みそで考えてくれたことには感謝したるわ」


財前くんってホンマ素直やない。けど、これは財前くんなりの照れ隠しっちゅーことはわかってる。それが何だか可愛くて笑ってると、キモいと言われた。



全国大会が終わりました

(あり?ワイは?)
(金ちゃん…)



END





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