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ついに始まったダブルス1。

千歳先輩と財前くん対手塚さんと乾さん。ダブルスやけど、手塚さんを止められるんは千歳先輩しかおらんくて、ダブルスやと才気煥発の力が発揮されへん。そこで財前くんに課せられたのは、サーブとレシーブ以外はコートの外に出ること、やった。変則的なシングルスでやることになった。


「ま、しゃーないっすね」


そう言ってコートの外に出た財前くん。相手の乾さんもコートの外に出て、手塚さんは2対1なんて卑怯なことはせずに、1対1で千歳先輩と真っ向勝負する。この試合で負けたら、うちらはもう終わりや。


「最初は、42球たい」

「42球ってそないにかかんのか」

「相手は手塚や。しゃあないわ」


相手がいくら手塚さんやからって42は多すぎやろ!初っ端から神隠しで攻める千歳先輩に神隠しで返す手塚さん。さらに手塚ゾーンつかったりと、最初から何か高レベルな試合展開がつづく。これが42球も続くんやろ!?そう思っとったとき、財前くんが動いた。


「財前の野郎、ポーチにでやがった!」

「この17球目で決まりや」


ポーチに出た財前くん。これで決まるかと思いきや財前くんの目の前でボールは消え、ボレーが決まることはなかった。がくんと膝を落とした財前くんに、乾さんはやめておいたほうがいいと声をかけた。


「あの財前くんが、何も打てへんなんて」

「それぐらい千歳と手塚の試合がすごいんやろ」


そして財前くんは手も足もだせないまま、千歳先輩の言ったとおり42球目で決まった。財前くんはただ、千歳先輩と手塚さんの試合を真っ直ぐ見つめているだけやった。




手も足も出ない試合

(何て声をかけたら)
(いいんやろうか)



END





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