44 感動的に終わったシングルス2。 「皆、すまない」 「しゃーない、しゃーない!かっこよかったでー!」 「そうやで、師範!めっちゃかっこよかった」 続いてダブルス1の試合が行われる。 ダブルス1は財前くんと謙也先輩。けど、電光掲示板に表示されたんは、謙也先輩でなく、千歳先輩の名前やった。 「えっ!?千歳先輩って退部したんちゃうの?」 「まだ大会途中や!退部なんて認めてへんでー!」 なんて呑気に千歳先輩を呼ぶオサムちゃん。え、でも…っちゅーか謙也先輩おらんし!確かに青学の手塚さんはめっちゃ強いらしいし、千歳先輩はやりたがってたけど…。 「私、千歳先輩探してきます」 「千奈ちゃん!?」 会場中を走り回っていると、妹さんと一緒におる千歳先輩を発見した。そこには謙也先輩もおった。 「強い奴がコートに立つのが当たり前っちゅーもんや」 「謙也…」 「やりたいんやろ?手塚国光と。お膳立てしといたで」 謙也先輩…。千歳先輩が急いで着替えに行ってから、謙也先輩と目が合った。 「謙也先輩、ほんとはやりたかったんじゃ」 「さっきも千歳に言うたけど、強い奴がコートに立つのが当たり前や。俺が出ても、勝てへんやろ」 「でも、」 「俺より千歳が強い。俺よりも財前のほうが強い。そしたらその二人がコートに立ったほうが勝てるやろ」 「謙也先輩…」 「この試合。一番辛いんは俺やない。千奈ちゃん、財前のこと見ててあげてな」 「え?」 ほな、戻ろか。そう言うて、謙也先輩は私の背中を押した。皆の場所に戻ると、財前くんは、アホっすね、と言った。 「謙也さん、アホっすよね」 「何やて!?」 「ま、しゃーないっすわ」 「どういう意味やねん!」 ほんとは一番謙也先輩とダブルスやりたかったんは、財前くんなんやろな。ずっと一緒に練習してきたんやし。それでも、勝つためには仕方のないこと。 勝利を託す謙也先輩と、託される千歳先輩。そして財前くん (変則シングルスって) (そんなんありなんすか?) END |