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「あれ?白石部長。金ちゃんってどこ行きました?」

「トイレちゃう?」

「金太郎はんならさっき静岡に着くなり、走って行かれたが、もしかして降りたんとちゃうか?」

「え、まさか」

「やばいっちゅー話や!金ちゃん携帯持ってへんのに!」

「とりあえず車内探そか。千奈はあっちの車両のほう探してきてくれるか?俺はあっち探すわ」

「はい!わかりました」


あの夏祭りから1週間後。私達は全国大会に行くために東京行きの新幹線に乗っていた。静岡から発車して数分後、私は金ちゃんがそのへんにいないことに気付いた。まずい!白石部長に言われた通り、車両を一つずつ見ていくも、金ちゃんらしき姿はなかった。


「どないするんすか、あのゴンタクレ」

「まぁ、なんとかするやろ」

「え、そんな扱いでええんすか?」

「ま、しゃーないなぁ。アイツのことや、きっと走って来るで」

「オサムちゃんまでそない呑気な!」

「最悪おらんでもなんとかなるやろ。アイツは青学のスーパールーキーに会いたかったみたいやけどな、残念や」

「めっちゃ迷子になって帰って来おへんかったらとか考えないんですか?」

「金ちゃんのことばい。きっとひょこっと帰って来るったい」

「まぁ、そうかもしれへんけども」

「ま、しゃーないやろ。遅れるわけにもいかへんし」

「財前くん…」


この間、夏祭りに行ってから、私はまともに財前くんの顔を見ることができなくなってしまった。財前くんに対しての感情に、財前くんが好きだということに気付いてしまったから。

普通にしよう、普通にしようと思っても、普通にできなくて。財前くんは金ちゃんのこと何とも思ってへんのかー!と言ってから、小石川副部長の隣の自分の席に座った。




東京に向かう途中、金ちゃんがいなくなりました

(金太郎さーん!)
(何やあれ、青学のスーパールーキーやん!)
(戦ってみたいわ、コシマエ)
(っていうか金ちゃんここまでどうやって来たん?)
(走って来たで!)
(……よう間に合ったな)



END





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