35 梅雨のじめっとした時期。 今朝見た天気予報では降水確率50%やった。降るか降らないか微妙なところで、私の判断として降らないだろうやった。お天気おねえさんは念のため傘を持ってお出かけしましょうって言うとったのに、それをシカトして傘を持たずに来た私。 雨は降らないまま5限まで終え、何ややっぱ降らないやん!と思ったのも束の間、6限の途中で突如雨が降って来た。 「最悪や!」 「何やねん、葛城。うるさいぞー」 「あ、すいません」 思わず授業の途中にも関わらず叫んでしまい、先生に注意されるわクラスメイトはバカじゃねえの、みたいな目で見てくるし。財前くんは、完全シカッティングだし!はぁ。ま、いっか。帰るまでに止めばええんや、と思ったのも虚しく雨は帰りまで降り続けた。 「財前くーん。部活いこ」 「今日、部活休みやで」 「え、まじで」 「マジや」 「……ほなかえろーっと」 あーあ、こんなときに限って部活休みとか!くそう、白石部長め。真衣は部活があるからって行ってまうし。あー、最悪。ほんま最悪。止みそうにない雨を下駄箱で仕方なく雨宿りする。少し小降りになったら帰ろうと思ってんのに、小降りになるどころか、めっちゃ降ってきた。 あれ?そういえば私ロッカーに折りたたみ傘があったような気がする。前、持って来て使わなかったからそのままにしてあったような…。よっし、取りに行こう。もう人気のない校舎を歩き、教室に着くとそこには財前くんがおった。何してんねやろ、まだ帰ってへんかったんや。私がドアを開けようとした瞬間、教室の中から好きです、という声が聞こえて来た。 「私、財前先輩のことがずっと前から好きやったんです!付き合うてくれませんか?」 うわ、告白や、告白!しかも先輩って言うてるところからして後輩らしい。さすがモテる男は違うわー。返事はどないすんねやろ。 「悪いけど、付き合えへんわ」 「えっ、なんでですか?」 「何でって、今日初めましてで会うてんのにオッケーするほうがおかしいやろ」 「私、ずっと財前先輩のことかっこいいなって思ってたから」 女の子泣きそうやん!財前くんも罪な男やなー。 「好きな人とかいてはるんですか?」 「おったら何やねん。お前に関係ないやろ」 「でもいないんやったら、まだ私に可能性ありますよね?」 「は?」 「私のことはこれから知ってもらえればええですから」 「勝手に話すすめんなや。っちゅーか俺、好きな奴おるから」 財前くんのその一言になぜか私の胸が痛くなった。財前くん、好きな人おったんや。知らんかった。私、もうあんま財前くんとおらんほうがええよな…。っていうか今までも別にたいして一緒におったわけちゃうけど。 財前くんって特別仲良い女の子っておれへんと思ってたから、私が財前くんのこと一番わかってるとか勝手に思ってたけど、全然知らないことばかりや。 告白現場に遭遇しました (結局傘ないし) (あれ、千奈ちゃんやないの!) (小春先輩) (傘ないん?) (はい) (ほな、家まで送ってったるで) (うわぁぁああん!小春せんぱーい!好きです!) END |