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「インきょーとー!!!」

「うるさいわ」

「何でやねん!テンションあげていこうや、財前くん!」

「たかが京都やん。いつでも来れるし」

「うわー、冷めてるー」


5月になって、最初の行事である春の笑顔満載遠足がやって来た。今年は京都を各班に別れてまわるということで、私と財前くんはたまたま同じ班になったため、一緒にまわらないといけない。


「まずはー、金閣寺!」

「そないはしゃぐもんか?」

「楽しいやん、遠足!去年とはちゃうねんで?」

「寺見て何が楽しいねん」

「うわ、その発言、師範の前でしてみてや」

「絶対嫌や。波動球で飛ばされて死ぬわ」

「あはっ!飛ばされる財前くん、見てみたい」

「アホか」

「いたっ!殴らんでもええやん」


銀閣寺行って、金閣寺行って、清水寺行って、帰りにお土産を物色する。うーん、レギュラーの皆には何がええんやろ。テニス部全体には八つ橋にするとしてー、悩むわー。


「なぁなぁ、財前くん!お土産何がええと思う?」

「何がいいもなにも何で土産なんて買うてかなアカンねん」

「だってしゃあないやん!部長に買うてきてなって言われてんねんもん」

「たかが京都に遠足やのに土産必要あらへんやろ」

「いいから一緒に選んでや」

「嫌や。頼まれたのお前やねんから、お前が選べ」

「けちー」

「は?」

「う、うそです」


白石部長には何か植物的なの買うてけばいっか。小春先輩と一氏先輩には、この色違いのストラップにしよう。あ。この星の形のやつ謙也先輩に合いそう。


「それ、謙也さんにあげるん?」

「えっ?あ、うん。なんか謙也先輩に合いそうやったから」

「お前さ、ホンマに何も気付かへんの?」

「何が?」

「謙也さんがお前のことどう思っとるとか考えたことないん?」

「ないけど。だって私と謙也先輩はただの先輩と後輩やし」

「そんでお前はほんまに謙也さんのこと何とも思ってへんのか?」

「謙也先輩はええ人やけど、そこには恋愛感情とかいうものはないし」

「お前、好きな人とかおれへんの?」

「おらんけど…。じゃあ財前くんには好きな人おるん?」

「……お前になんか絶対言わんわ」

「ええー!人に聞いといて自分は言わんってどうなん、それ!」



私はまだ気付かない。

自分の中にある気持ちに。



京都へ遠足に来ました!

(謙也先輩、お土産です)
(えっ、何!?めっちゃ嬉しいんやけど)
(……謙也さん、顔赤いっすわ)
(うるさい!)



END





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