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昨日、始業式が終わって、今日からさっそく授業。眠たい眠たい授業を受けて、いざ部活!というわけで財前くんと一緒に部室まで行くと、そこには誰もおらず、何やようわからんけどコートのほうが騒がしかった。


「何やろ。白石部長がイケメンすぎて女子たちが集まってんのかな?」

「あの部活動紹介でイケメンやとはとても思えへんやろ」

「じゃあ何なんやろ」


財前くんと一緒に人混みを掻きわけてコートに行くと、そこにはどこかで見たことある赤い髪の男の子が先輩とラリーしていた。


「なーんや、つまらんなぁ。もっと強い奴おらへんのー?あの西日本大会のときに試合しとったにーちゃん達はまだ来おへんのー?」

「西日本大会?あ!あのとき全部打ち返せばいいとか言うとった子ちゃう?」

「アイツ…思い出したわ。俺、アイツと同じ小学校やったわ」

「ええ!?マジで、財前くん」

「何で嘘つかなアカンねん。一つ下で毎日騒ぎまくってた奴や」

「へー」

「探しとるんは、俺らのことでええんか?」

「ん?あ!あん時のにーちゃんたちや!ワイ遠山金太郎いいますねん!よろしゅー、よろしゅー」

「何や財前。もう来とったんか」

「先輩らが遅いんやないですか」

「なぁ!こん中で誰が一番強いん?ワイと試合しようや」

「ほな、手始めに俺が試合したるわ」

「いいや、俺が相手したる」

「白石」


謙也先輩が試合するって申し出たのに、なんと白石部長直々に試合するとか!なんでなんで!?


「ルールは1ゲームだけや。サーブは君からでええで」

「なら遠慮なく行かせてもらうでー!!」

「わっ!強烈なサーブ!」


遠山くんの強烈なサーブ。だけど白石部長は一瞬で打ち返した。し、白石部長、つよ!


「へぇ。やるやん。ほなもういっちょいきまっせー!」


遠山くんの打つサーブは全て白石部長がリターンエースをとった。すごい…。こないすごい白石部長を見たことない。完璧なテニスや。


「な、なんで、ワイのサーブ全部打ち返された」

「遠山金太郎君いうたな。強いな、自分」

「強い?」

「あぁ。もっと強うなるで。ここ入ったら」

「にーちゃん、名前は?」

「白石蔵ノ介や。よろしゅうな、金ちゃん」

「うう、しらいしー!」


謎の感動を生んだ金ちゃん入部。そして、


「やっぱここ来て良かったばい」

「へ?だ、だれ!?」


謎のモジャモジャ頭が急に背後に現れた。このモジャモジャ頭、どっかで見たことある…。どこやっけ……。確か春休みに、


「裏山で昼寝してた不法侵入の!」

「獅子楽中の千歳やないか。何でここおんねん」

「獅子楽中の千歳君!?はぁーっ、イケメン!やなくて、テニス辞めたって噂で聞いたで?何でうちにおんの!?」

「転校してきたばい。もう一度テニスしたくなったと」

「期待のスーパールーキーに、九州二翼か」

「白石。これなら」

「ああ。全国行くで。目指すは優勝や」

「「おー!!」」




最強のメンバーで目指すは全国大会優勝!

(っていうか千歳君、不法侵入したん?)
(不法侵入はしとらんたい)
(すいません、私の勘違いです)
(ダサ)
(財前くんやって、一緒になって言うてたやんけ!)
(巻き込まんといてや)




END

なんだか金ちゃんには最初に白石に負けててほしい。







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