32 昨日、始業式が終わって、今日からさっそく授業。眠たい眠たい授業を受けて、いざ部活!というわけで財前くんと一緒に部室まで行くと、そこには誰もおらず、何やようわからんけどコートのほうが騒がしかった。 「何やろ。白石部長がイケメンすぎて女子たちが集まってんのかな?」 「あの部活動紹介でイケメンやとはとても思えへんやろ」 「じゃあ何なんやろ」 財前くんと一緒に人混みを掻きわけてコートに行くと、そこにはどこかで見たことある赤い髪の男の子が先輩とラリーしていた。 「なーんや、つまらんなぁ。もっと強い奴おらへんのー?あの西日本大会のときに試合しとったにーちゃん達はまだ来おへんのー?」 「西日本大会?あ!あのとき全部打ち返せばいいとか言うとった子ちゃう?」 「アイツ…思い出したわ。俺、アイツと同じ小学校やったわ」 「ええ!?マジで、財前くん」 「何で嘘つかなアカンねん。一つ下で毎日騒ぎまくってた奴や」 「へー」 「探しとるんは、俺らのことでええんか?」 「ん?あ!あん時のにーちゃんたちや!ワイ遠山金太郎いいますねん!よろしゅー、よろしゅー」 「何や財前。もう来とったんか」 「先輩らが遅いんやないですか」 「なぁ!こん中で誰が一番強いん?ワイと試合しようや」 「ほな、手始めに俺が試合したるわ」 「いいや、俺が相手したる」 「白石」 謙也先輩が試合するって申し出たのに、なんと白石部長直々に試合するとか!なんでなんで!? 「ルールは1ゲームだけや。サーブは君からでええで」 「なら遠慮なく行かせてもらうでー!!」 「わっ!強烈なサーブ!」 遠山くんの強烈なサーブ。だけど白石部長は一瞬で打ち返した。し、白石部長、つよ! 「へぇ。やるやん。ほなもういっちょいきまっせー!」 遠山くんの打つサーブは全て白石部長がリターンエースをとった。すごい…。こないすごい白石部長を見たことない。完璧なテニスや。 「な、なんで、ワイのサーブ全部打ち返された」 「遠山金太郎君いうたな。強いな、自分」 「強い?」 「あぁ。もっと強うなるで。ここ入ったら」 「にーちゃん、名前は?」 「白石蔵ノ介や。よろしゅうな、金ちゃん」 「うう、しらいしー!」 謎の感動を生んだ金ちゃん入部。そして、 「やっぱここ来て良かったばい」 「へ?だ、だれ!?」 謎のモジャモジャ頭が急に背後に現れた。このモジャモジャ頭、どっかで見たことある…。どこやっけ……。確か春休みに、 「裏山で昼寝してた不法侵入の!」 「獅子楽中の千歳やないか。何でここおんねん」 「獅子楽中の千歳君!?はぁーっ、イケメン!やなくて、テニス辞めたって噂で聞いたで?何でうちにおんの!?」 「転校してきたばい。もう一度テニスしたくなったと」 「期待のスーパールーキーに、九州二翼か」 「白石。これなら」 「ああ。全国行くで。目指すは優勝や」 「「おー!!」」 最強のメンバーで目指すは全国大会優勝! (っていうか千歳君、不法侵入したん?) (不法侵入はしとらんたい) (すいません、私の勘違いです) (ダサ) (財前くんやって、一緒になって言うてたやんけ!) (巻き込まんといてや) END なんだか金ちゃんには最初に白石に負けててほしい。 |