30 「わー!もう桜が結構咲いてんねやな」 「何で俺らが裏山の掃除せなアカンねん」 「しゃあないやん。オサムちゃんからの命令やねんもん」 ぽかぽか陽気の3月の終わり。 もう春休みの私と財前くんは、朝から部活にも関わらず、特別任務やと言うて、オサムちゃんに裏山の掃除を頼まれた。だいたい裏庭の掃除言うてもゴミ拾いぐらいしかやれることないんやけど。裏山をゴミを拾いながら歩いていると、裏山で寝転がっている人を見つけた。だ、だれやねん! 「財前くん!財前くん!」 「何やねん」 「誰かおる」 「は?今、春休みやん。誰もおらへんやろ」 「それがおんねん」 「どこにおんねん」 「そこ!なんか頭モジャモジャの」 「うわ、ほんまにおる。何してんねん、あの人」 「さぁ?昼寝とか?不審者っぽくはないし」 「ん?あの頭…どっかで見たことあるような」 「知り合い?」 「知り合いちゃうけど、どこで見たんやろ。思い出せへんわ」 「使えへん頭やな」 「お前ほどちゃうわ」 モジャモジャ頭のその人は、私達が会話してようと、起きる気配は全くなく昼寝をしていた。ほんま誰なんやろ?うちの学校の裏山におるとか…。 「不法侵入とかにならへんのかな?」 「さぁ?ま、ええんちゃう?ほっとけば」 「せやな。あ!財前くん!そこにゴミ落ちてる」 「お前が拾えや」 「財前くんのが近いやん」 「見つけたのはお前やん」 「ええー。でも財前くんのが近いやん」 「知らん。俺、見つけてへん」 「どんだけ捻くれとんねん」 「ま、しゃーないやろ」 「しゃあなくないわ!」 春休みのある日の出来事 (裏山で寝ていたその人とは) (すぐに再会することになる) END |