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バレンタインが終われば、ホワイトデーというものが来るわけで。



「一氏先輩!お返し貰いに来ました」

「……お前なぁ!お返しっちゅーもんは、貰いに来るもんやないやろ!」

「だって一氏先輩が一番お返し忘れそうやったんで。あげたからにはもらわないと」

「お前ほんっまにええ根性しとるな」

「褒め言葉ですか?」

「ちゃうわ!」


3月14日。1限目の授業が終わって早々に私は一氏先輩にホワイトデーのお返しを貰いに来た。一氏先輩は文句を言いながらも、可愛いクッキーが入った袋をくれた。わーい!一氏先輩、なんだかんだ言うて用意してくれたなんて、やさすぃー。で、


「白石部長はどこですか?」

「白石ならさっき廊下出てったはずやけど」

「お返し配りに行ったんですか?」

「ちゃうちゃう。見てみ」


一氏先輩にそう言われ、廊下を覗いてみると、そこには白石部長と女子の長蛇の列。な、なんやねん、これ!


「誰からもらったかわからんくなったから、握手会やて」

「アイドル気どりですね」

「お前も白石からお返し欲しかったら並べよ」

「並んでまで白石部長と握手したいとか思いませんから」


休み時間も少なくなったところで、私は女子の長蛇の列をかきわけて自分の教室まで戻った。それにしても握手会で返すとか、白石部長の考えることって、一体…。教室に戻ると、財前くんが机に突っ伏して寝てる姿が目に入った。あの女の子たちにお返しせえへんでええんやろか。


「小春先輩!あ、師範もおる!」

「千奈ちゃんやないのー!どないしたん?」

「バレンタインのお返し貰いに来ました」

「ちゃんと用意してるで!はい」


小春先輩からは、可愛いタオルハンカチとチョコ。師範からはクッキーやった。あとは、謙也先輩と小石川副部長と財前くんや。私が教室に戻ろうとしていると、どこからか呼びとめられた。振り向くとそこには謙也先輩がおった。


「謙也先輩」

「あ、あのな、千奈ちゃん。俺、何あげたらええんかわからんかってんけど…。バレンタインありがとうな」

「いえ!こちらこそありがとうございます」

「気に入らんかったら捨ててええから」

「そんなことしませんよ!ホンマありがとうございます!」


教室に戻る途中に中身を確認すると、可愛いストラップやった。謙也先輩、きっとこれ買うのにめっちゃ迷ったんやろな。失礼やけど、こういうのに慣れてなさそうやし。自分の席に座ると、ちょうど携帯のメールが鳴った。確認してみると、差出人は財前くんで、本文は、机の中だけやった。

机の中!?手を突っ込んでみると、指の先に何かが触れた。そーっと取り出してみると、棒のついた飴が3つほど丁寧にリボンでまとめられていた。これは財前くんからのホワイトデーのお返し!?ホワイトデーとか行事とか興味なし、と思ってたから絶対くれへんやろうなと思ってたのに…。いつの間に机の中に入れたんやろ。


ありがとう、とメール送ると、突然財前くんが私のほうを向き、口パクでばーか、と言った。誰がバカやねん!と思ったけど、きっとこれは財前くんなりの照れ隠しなんやろうな。



可愛いお返し

(白石部長、これは…)
(毒草図鑑や)
(いりません。分厚いし重いし。そんで小石川副部長のお返しはこれまたなんなんですか!)
(パセリの育て方や)
(いりません!)



END





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