28 2月14日。 今日は、女子が男子にチョコを贈ったり告白したりする日。もちろん私は好きな人はいないが、昨日大量のチョコを作るハメになった。それもこれも白石部長からのくれるんやろー?連呼作戦に負けた。くそう、白石部長。かっこよすぎやねん!断れへんやろ!っていうか私一人が作らなくても、先輩達は女子からもらえるんちゃうんやろか。 朝練前に部室におはようございまーす、と入ると案の定白石部長はすでに紙袋二つ持っていた。 「白石部長。それ、もろたんですか?」 「せやねん。やっぱ袋持ってきといて正解やったわー」 「厭味か?俺なんか紙袋一つしか持って来てへんっちゅーねん!」 「謙也先輩も女子にもらったんですか?」 「ま、まぁ、白石ほどやないけどな」 「アタシはユウくんからもろたんやで」 「え、一氏先輩から?」 「今日は好きな人に贈る日やろが!小春にあげんで誰にあげんねん」 「そんなこと一言も言うてへんやないですか」 師範も何個かチョコもらっとって、師範優しいからやっぱモテんねやー、と思った。そういえば財前くんの姿がない。 「謙也先輩。財前くんは?」 「あー、遅刻ちゃう?」 「光はんならさっき女の子に呼ばれてるとこ見たで」 「え」 うわー、やっぱ財前くんもモテんねやな!私はとりあえず一氏先輩、小春先輩、師範、白石部長、謙也先輩、そして小石川副部長にチョコを渡した。そしたらなぜか小石川副部長が泣いて喜んでくれた。誰にも貰えへんかったんやろか。結局財前くんが朝練に来ることはなく、いつ渡そうかと悩んでしまった。 だって、なんか人前であげるのって照れるというか、別に義理やからええんやけど、でも、なんか、好きとか周りに勘違いされても困るし。せやから部活であげよう思ってたのに、こういうときに限っておらへんし。まぁ、放課後でいっか。 「おはよ、真衣」 「おはよ」 「皆なんかバレンタインやからって楽しそうやなぁ」 「アンタは部活の人にあげたん?」 「あげたで!財前くんだけあげれてへんけど」 「今からあげてこればええやん」 「いやいや!さすがにあの女子の中に割って入っていく勇気なんて持ち合わせてないよ!」 「アンタなら構わず行きそうやけど」 確かに私なら堂々と、チョコとか渡すかもしれへんけど!でも、たかがチョコを渡すだけやのに、少し戸惑ってしまうのはなんでなんやろう。 ハッピーバレンタイン (はい、財前くん!チョコ) (…毒入ってへんよな) (入ってへんわ!) END |