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「あけましておめでとうございます」

「あけおめ、千奈ちゃん!今年もよろしゅうな」


元旦。学校の近くの神社でテニス部メンバーと待ち合わせしてるから、通り道やと言うことで謙也先輩が家まで迎えに来てくれた。


「早いなー、1年って」

「そうですね」

「どやった?中学入って」

「楽しいですよ!部活も楽しいし。謙也先輩がマネージャーに誘ってくれたおかげです」

「いやいや、そんな。俺も千奈ちゃんにマネージャーやってもらえてよかったっちゅーか」

「え、あ、いや、そんな」


何か照れる!そういえば最近、謙也先輩と二人っていうのはあんまりなかった気がする。小学生のころに比べれば、謙也先輩はほんまに大人ッぽくなってかっこよくなったと思う。髪も金髪とかにしちゃってるし。神社に着くと、すでに皆集まっていた。


「遅くなってすいません」

「全然。アタシらも今来たとこやで」

「ほな行こか」


参拝者の列に並んで、私達も自分たちの順番を待つ。何をお祈りしようかなー。隣でぼーっとしている財前くんに聞いてみると、何で言わなアカンねん、と言われた。ええやんか、教えてくれたってー!


「千奈、財前。覚えとき」

「何ですか?」

「ここの神社はなぁ、俺ら四天宝寺中テニス部が毎年初詣に来るところやねん。俺らが卒業してからもちゃんとここに来るんやで?そんで、ちゃんと下の子に受け継いでいってや」

「白石部長……」


白石部長たちが卒業なんて、まだまだ先のことやと思ってたけど、そうか。あと1年しかないんやなぁ…。うちらの番が来て、全員で整列(私と財前くんはうしろ)に並んでそれぞれお賽銭を投げた。


「よし!ほんならお守り買うて帰ろか」

「絵馬書こうや、絵馬!」


謙也先輩のその提案で絵馬を書くことになった。んー、何書こう。先輩らは受験のこと書いてんのやろか。


「謙也先輩も白石部長も何書いたんですか?」

「そんなん決まってるやん」

「え?」

「「全国大会優勝!」」


自分たちの受験のことも書かんと、謙也先輩も白石部長も、一氏先輩も小春先輩も小石川先輩も師範も、みんな同じこと書いてた。みんな同じ夢を持っていて、きっとさっきのときも先輩たちはみんな、同じことをお祈りしてたんやろう。

そう思ったら、自分は何だったんやとふがいない思いを感じた。



初詣で感じた自分のふがいなさ

(私はマネージャーとして)
(何をしてあげられるんやろ)



END





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