27 「あけましておめでとうございます」 「あけおめ、千奈ちゃん!今年もよろしゅうな」 元旦。学校の近くの神社でテニス部メンバーと待ち合わせしてるから、通り道やと言うことで謙也先輩が家まで迎えに来てくれた。 「早いなー、1年って」 「そうですね」 「どやった?中学入って」 「楽しいですよ!部活も楽しいし。謙也先輩がマネージャーに誘ってくれたおかげです」 「いやいや、そんな。俺も千奈ちゃんにマネージャーやってもらえてよかったっちゅーか」 「え、あ、いや、そんな」 何か照れる!そういえば最近、謙也先輩と二人っていうのはあんまりなかった気がする。小学生のころに比べれば、謙也先輩はほんまに大人ッぽくなってかっこよくなったと思う。髪も金髪とかにしちゃってるし。神社に着くと、すでに皆集まっていた。 「遅くなってすいません」 「全然。アタシらも今来たとこやで」 「ほな行こか」 参拝者の列に並んで、私達も自分たちの順番を待つ。何をお祈りしようかなー。隣でぼーっとしている財前くんに聞いてみると、何で言わなアカンねん、と言われた。ええやんか、教えてくれたってー! 「千奈、財前。覚えとき」 「何ですか?」 「ここの神社はなぁ、俺ら四天宝寺中テニス部が毎年初詣に来るところやねん。俺らが卒業してからもちゃんとここに来るんやで?そんで、ちゃんと下の子に受け継いでいってや」 「白石部長……」 白石部長たちが卒業なんて、まだまだ先のことやと思ってたけど、そうか。あと1年しかないんやなぁ…。うちらの番が来て、全員で整列(私と財前くんはうしろ)に並んでそれぞれお賽銭を投げた。 「よし!ほんならお守り買うて帰ろか」 「絵馬書こうや、絵馬!」 謙也先輩のその提案で絵馬を書くことになった。んー、何書こう。先輩らは受験のこと書いてんのやろか。 「謙也先輩も白石部長も何書いたんですか?」 「そんなん決まってるやん」 「え?」 「「全国大会優勝!」」 自分たちの受験のことも書かんと、謙也先輩も白石部長も、一氏先輩も小春先輩も小石川先輩も師範も、みんな同じこと書いてた。みんな同じ夢を持っていて、きっとさっきのときも先輩たちはみんな、同じことをお祈りしてたんやろう。 そう思ったら、自分は何だったんやとふがいない思いを感じた。 初詣で感じた自分のふがいなさ (私はマネージャーとして) (何をしてあげられるんやろ) END |