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「メリークリスマース!」


パンパンとクラッカーを鳴らして、クリスマスパーティーが始まった。昨日のうちに飾り付けをした部室に、ケーキやらチキンやらを持ち込んで、ワイワイ騒ぐ。


「金色小春、歌わしてもらいまーす!」

「よっ、小春!」

「いけいけ!小春!うおわっ!」

「謙也さん、こぼさんといてくださいよ」

「わざとやないわ!あー!小石川!そこの布巾とってくれ」

「千奈、食べとるか?」

「はい!白石部長こそ食べてます?」

「食べてるで」


小春先輩が歌ったり、謙也先輩がこぼしたり、財前くんが冷めた目で見たり、相変わらず小石川副部長は世話しとったり、楽しい時間はどんどん過ぎていく。あれ?そういえば師範と一氏先輩がおらん。


「メリークリスマース!サンタクロースがプレゼント届けに来たでー!」

「ぎゃははは!銀!似合いすぎっちゅー話や!」


勢いよくドアを開けて入って来たのは、トナカイの格好をした一氏先輩とサンタの格好をした師範やった。あらかじめ全員から徴収したプレゼントを師範がくばってくれるらしい。


「誰にどのプレゼントが行くかは銀次第やからな!」

「うむ。白石はんにはこれをやろう」

「おおきに。誰からのやろ、これ」

「まだあけたらアカンで。謙也はんにはこれや」

「何かめっちゃ軽いんやけど」

「光はんにはこれを」

「ども」

「千奈はんにはこれやな」

「わー!ありがとうございます」

「小春はんにはこれで、健二郎はんはこれをあげよう」

「で、あまったのが俺と銀のっちゅーことで。ほな、一斉にあけんでー!」


一氏先輩のその声で渡されたプレゼントを開けた。ピンクの可愛い包み紙の中身は、箱の中に見事に5円チョコが敷き詰められていた。誰やねん!こんなプレゼント用意したやつ!千円までやけども!千円未満もええとこやろ、これ!


「ちょ、誰ですか5円チョコ!」

「何や!文句あるんか!」

「一氏先輩。ケチ」

「誰がケチや!っちゅーか俺のなんて何やねん、この監督の似顔絵は!」

「俺っすわ。それだけやなくて、ちゃんとチロルチョコ入れたやないですか」

「いらんっちゅーねん!ド下手すぎるやろ」

「俺、花の種やったわ」

「謙也君!それ、アタシやと思って大事に育ててな」

「うわ、いらんわ」

「ワシのは毒草図鑑?」

「それな、ちょうど中古で売っててん。銀もそれで毒草について勉強するんやで」

「……気が向いたら」

「アタシのは可愛い鏡やったわー」

「あ、それ私が」

「おおきにね、千奈ちゃん」

「数珠って」

「健二郎はん。文句あるか?」

「あるわ!」

「俺のはパセリの育て方?」

「ああ、それな!結構詳しく書いてあるわりに安かってん」

「堪忍な、小石川。俺、パセリに興味ないねん」

「なんやねん!この変な形の消しゴムたちは!」

「俺のなかのベスト5をつめてやったんやぞ!それ滅多に売ってへんのやからな!感謝しろっちゅー話や!」


プレゼント交換の結果、私のは一氏先輩からので。こんなに5円チョコばっかいらへんし。サンタさんからのプレゼント配りも終わったところで、もう夕方ということもあり、片付けて帰ることにした。


「財前くん。ごみここに。私、ごみ置き場まで置いてくるわ」

「…俺も行くわ」

「え、あ、うん。ありがとう」


財前くんと二人でごみ置き場までごみを持って行く。あ、そうだ。


「財前くん!」

「何?」

「はい、これ!」

「は?」

「クリスマスプレゼント!」

「なんで?」

「財前くん、今までもらったことないって言うてたから。いらんかったら別にええけど」

「……ま、しゃーないからもらっといたるわ」


財前くんは呆れながらも貰ってくれた。ちゃんともらってくれるところは、財前くんの優しいところやと思う。ごみ置き場まで着くと丁度雪が降って来た。



クリスマスパーティー

(プレゼントとか、反則やろ)


END





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