24 ハロウィンパーティー。朝から謙也先輩に会ったかと思えば、財前くんにスカートめくられ、最悪の始まりや。でも、財前くんがちゃんと仮装してきたのには少し驚いた。財前くんの格好はかぼちゃやけど王子様みたいな。ようわからん格好やった。でも不思議と似合っててかっこよかった。 「財前くん、かぼちゃ王子様?」 「知らんわ。袋開けたらこんなん入ってただけや」 「なんか一氏先輩のセンスってすごいよな!財前くん、めっちゃ似合うとる」 「元がええから当たり前や」 「あっそうですか」 財前くんってやっぱ自分のかっこよさ知ってんねやろなぁー。かっこええ人は違うわ。白石部長はどんな格好してんねやろ。さぞかしかっこいいんやろな。そんなこんなグラウンドに全校生徒集められスタンプラリーの台紙が配られた。 「財前くん!どっから行く?」 「どっからでもええんちゃう?」 「うわ!でた!やる気ない発言!」 「ま、しゃーないやん」 やる気のない財前くんと歩き、とりあえず校舎に入った。職員室、校長室、視聴覚室、教室、いろんなとこ行ったけど、全然先生に出会えへんかった。あー、もうおらんやん、なんてまたもやる気ない発言で財前くんと図書室に来た。 「おらんし」 「ええー。うちらだけなんやろか、こないに先生に出会えへんのって」 「出会ってもハズレばっかやしな」 「謙也先輩とかはもうスタンプもらってるんかな?」 「………お前さ、ほんまに何とも想ってへんの?」 「何が」 「謙也さんのこと」 またその質問。何回答えたら財前くんは気が済むんやろ。ホンマに私は謙也先輩のことは何とも想ってへんくて。何とも想ってへんっていうか良い先輩としか思ってへん。 「朝やって謙也さんに可愛い言われて照れてたやん」 「ちょ、どこから見てたん?」 「最初から」 「誰でも可愛いなんて言われたら照れるやん。財前くんだってかっこいいって言われたら照れるやろ?」 「別に。もう慣れたし」 「あっそう!」 これだからモテる奴はアカンねん!もう、ええわ!次行こ、次!って私が行こうとしたら、財前くんに腕を掴まれ、本棚に押しつけられた。 「財前くん!?痛いんやけど」 「お前、男として見たことあるんか?」 「は?」 「男を男として見たことあるんかって聞いてんねん」 っていうか顔近いんですけど!押さえられてる腕が痛いし。男を男として見るってどういうことやねん!男を女として見たことなんてないっちゅーねん! 「こーら、財前くーん。誰もおらんからってこないなとこで襲うのはアカンでー」 「オサムちゃん」 「別に襲ってなんかいないっすわ」 「っていうかオサムちゃんいつからおったん?」 「最初からずーっとおったっちゅーねん。ほらスタンプや」 どこからかオサムちゃんが現れ、財前くんは私を離した。ホンマに何やったんやろか。オサムちゃんからスタンプを貰い、私と財前くんは図書室を後にした。 そして結局、時間内にスタンプを集めることは出来ひんかった。 うまい棒1年分は手に入らなかった (さっき少しだけドキッとしたことに) (気付かないフリをした) END |