23 怒涛の文化祭も終わり、10月の最後のイベントであるハロウィンが明日に迫っている。 「何でこの学校そないに行事好きやねん」 「そういう学校やねんもん、しゃあないやん」 「はぁー。またコスプレ」 財前くんは文化祭での女装(しかもメイド服)が相当嫌やったらしく、今回は何させられるんやろうとドキドキしている。うちの学校のイベント、ハロウィンパーティーは仮装して学校中に隠れとる先生を探して(2人1組)トリックオアトリートと言って、お菓子とスタンプをもらい、制限時間内に全部のスタンプを集めた生徒にうまい棒1年分が贈られるという行事。 ちなみに仮装の衣装はまたしても一氏先輩に頼んである。 「そんで何で2人1組がお前とやねん」 「厳正なるくじ引きで決まったんですー!私やって何にでもドライな財前くんとなんてやりたなかったし」 「俺で悪かったな」 財前くんは何にでもドライな性格やけど、ほんまは内心熱い人やってことはわかってる。体育祭のときやってそうだし。新人戦のときもそうや。それにわかったのはこの間の文化祭のとき。ホンマは優しい財前くんを知ったとき。 「ざいぜーん。千奈ー。衣装作って来たでー」 「一氏先輩。ありがとうございます」 「こっちが財前ので、こっちが千奈のな!小春と一生懸命考えて作ったんやからちゃんと着ろよ!ほなな」 ほんと一氏先輩って手先器用やんなー。明日が楽しみや!家に帰って、財前くんに明日ちゃんと着て来てや!とメールを送ったら。気が向いたら、と返事が返って来た。気が向いたらやなくて絶対や! 次の日、朝起きて一氏先輩から渡された衣装を開けてみた。うわ、魔女や。今日は朝からそれ着て登校せなアカンから、袖を通してみるも、なんだかスカート短めやない?こんなもんなんかな?ま、いっか!可愛いし! 学校へ着くと、皆いろんな仮装してきていた。それこそ同じような魔女もおれば、かぼちゃに、吸血鬼。それに…獅子舞にサンタクロースにこいのぼりってもう季節関係あらへんやん。 「うわっ、えっ、千奈ちゃん?」 「へ?あ、もしかして謙也先輩?」 「そう!」 「なんですの、それ」 「ブラックジャックや」 「はぁ」 頭の真ん中に明らかにマジックで書きました的な線が書いてある謙也先輩は黒いカツラのせいか全く別人に見えた。でも似合うなー。 「その、千奈ちゃん、その格好」 「これですか?」 「あ、うん。そのー、めっちゃ似合っとるっちゅーか、可愛い」 「えっ、あっ、ありがとうございます!謙也先輩も似合うとりますよ」 「そ、そうか?」 「はい!かっこええです」 謙也先輩にそう言うと、謙也先輩は照れたように笑い頭を掻いた。たぶん私も少し顔赤くなってるような気がする。可愛いなんて言われ慣れてないもん。そう思ってたら、いきなり、ぴらっとスカートがめくられた。 「ぴぎゃぁぁああ」 「うわ、色気ない声」 「ざざざざ財前!何しよんねん!」 「何って。スカートめくりっすわ」 「そんな冷静に言うな!」 「残念ですけど謙也さん。今日コイツとペアなん俺なんで。あんまちょっかいかけんといてくれます?」 「ちょっかいなんてかけてないわ!」 み、見られた!財前くんにも謙也先輩にもパンツ見られた! ハロウィンパーティーは波乱の予感 (それにしてもピンクのチェックって色気なさすぎやろ) (まだ中1やねんもん、しゃあないやん!) (そそそそんなでかい声でパンツの話すな!) END |