21 「ぶはっ!超似合う!財前くん超可愛い」 「はぁー。ホンマ帰りたいわ」 「アホ!俺が徹夜で作った衣装に文句あるんか?あぁ?」 「はいはい、ないです」 今日は待ちに待った文化祭。ということで、私達テニス部の女装喫茶も始まります。11時のオープンに備え、皆準備中。各クラスの出し物もあるっちゅーことで、交代でやるんやけど、まずは財前くんと一氏先輩、小春先輩、謙也先輩の4人。一氏先輩の作った衣装に、ウィッグをかぶって、さらに私がメイクをする。まだ衣装着替え中の謙也先輩は知らんけど、財前くんはもうホンマに可愛くなってしもた。 「謙也君はいりまーす」 「あ、謙也先輩や!うはっ!謙也先輩も似合いますね」 「恥ずかしいっちゅー話や」 「お前も俺が作った衣装に文句あるんか!」 「ありまくりや!何で俺こないでっかいリボンついてんねん!」 すでに一氏先輩も小春先輩も着替えてて、まぁ小春先輩はたいして変わってへんけど、一氏先輩は結構可愛い。これ白石部長のはよ見たいな。似合うんやろなー。 「さ、でーきた!もうすぐオープンなんで準備してくださいね!」 調理係の師範と小石川副部長にオッケーをもらってから、私は11時になりドアを開けた。そこには女子たちの長蛇の列が出来とった。すごい人や!ホンマテニス部って人気あるんやな。 「いらっしゃいませー」 「いらっしゃぁい!何飲みます?」 小春先輩はもちろんノリノリで。謙也先輩は嫌々ながらも笑顔を作ってやっとった。ユウジ先輩は接客しながら小春先輩をガン見。そして財前くんは、そのへんにおらんかった。 「ちょっと、財前くん!?」 「何やねん」 「何サボってんねん」 「めっちゃめんどいねん。キャーキャー言うて写メ撮ってきよるし」 「しゃあないやん」 「休憩時間まだ?」 「まだ始まって30分しか経ってませんけど」 「はぁー。ホンマ嫌や」 「白石部長に怒られんで?」 「よし」 そう言って立ち上がった財前くん。怒られるのは嫌なんや、と思った瞬間、私の腕を掴み財前くんは後ろのドアからするりと私を連れ出した。ちょ、なんやこれ何かデジャヴちゃう?前にもこんなんあったような!っていうか私を巻き込むなー! 「アカン、もうこんなん着てられへん。足スースーするし」 「ええー。脱ぐん?まだ交代の時間ちゃうし!それにメイド服似合ってんのに?」 「嬉しないわ」 「ええー」 どんだけ自分勝手やねん!さっさか脱いで着替えた財前くん。 「そういえばお前、謙也先輩と文化祭まわるん?」 「え、なぜそれを」 「この前、部長が言うてた。お前が謙也先輩とまわるみたいなこと言うてたって」 「あ、うん。でも実を言うとまだ誘ってへんくて」 「なんで?」 「何でって。もしかしたら謙也先輩だって一緒にまわりたい人おるんちゃうかな、って思ったら申し訳ないなーって」 「ふーん」 「まぁ、無理矢理にでも友達と一緒にまわる予定にした」 「行こか」 「は?どこへ?」 「文化祭!まわるんやろ?」 「え?え?」 「一緒に行ったるっちゅーねん」 「え、ええー!?」 木下藤吉郎祭、開幕です (どこ行きたいねん) (えっとねえっとね白石部長のクラスの縁日と、あと小春先輩のところのたこ焼き!それからー) (行きたいとこありすぎやろ) END |