19 財前くんが引いた借りもの競争のアホな人。見事連れられた私は、なぜか審査員に通ってしまい、うちのクラスは1位になることができた。 「私、アホやないのに」 「いや、お前はアホや」 「そうやねぇ。とてもやないけど、真面目とは言い切れへんわ」 「一氏先輩も小春先輩もひど!」 お昼の休み時間、私は一氏先輩と小春先輩、財前くんと一緒にお昼ごはんを食べていた。なんせ友達が部活の人と食べる言うから、私も仕方なしにここに来た。 「午後は玉入れにリレーやねぇ。千奈ちゃん出るんやろ?」 「はい!リレーには財前くんも出ますよ」 「そうなん?財前がリレーなんてなぁ」 「勝手にメンバーに入れられてただけっすわ」 「財前くん、今度こそ本気で頑張ってや」 間もなく午後の部が始まります、という放送がかかり、私達はそれぞれのクラスの場所へ戻った。私は玉入れに参加のため、入場ゲートに行った。2年生の場所に師範と小石川副部長と小春先輩がおって、小春先輩にものすごい手を振られた。まずは1年生の玉入れ。一生懸命玉入れたり、相手のカゴを奪ったり、何でもアリのルールに大爆笑やった。 「うえー。1コ差やーん」 3組とは1コ差で負けた。次の男女混合リレーで1位にならなければ、うちのクラスの負けは決定や。しかもアンカーが財前くんや。負け決定やん!あの財前くんが本気で走るとは思えへん! 「何、百面相しとんねん」 「財前くんのせいや」 「はぁ?」 「次のリレー、アンカーなんやから本気で走ってや!」 「めんど」 「なにー!?」 2年生、3年生の玉入れも終わり、ついに最終種目の男女混合リレーになった。第三走者の私と、アンカーの財前くん。体育の時間にバトン渡す練習とかもしたけど、財前くんはいつも適当やった。誰やねん、財前くんをアンカーにした奴! 「葛城ー!まかせたでー」 「うおっしゃあぁ!」 第二走者のタロー君からバトンを貰った。今は3位の状態。これでもかというぐらい猛ダッシュしてなんとか抜かし2位になった。目の前には財前くん。 「財前くん!頼んだ!」 財前くんは私からバトンを受け取ると、それはもう今までに見たことないぐらいの速さで走っていた。1位との距離まであと少し。 「頑張れ、財前くん!」 パーンという音とともにゴールテープが切れる。僅差で財前くんが1位やった。 「財前くーん!」 「うおぉぉお!財前!」 「財前くん!」 思わず財前くんに抱きついたリレーメンバーの私達。見事1年生の中でうちのクラスが1位になりました。 見事1位になりました! (何で本気で走ってくれたん?) (別に) (えー) (アホ。(お前が必死やったから、なんて言えるわけないやん)) END |