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体育祭。放送委員の実況の仕事も終わり、クラスの場所に戻った。次はお笑い100m走。私は出えへんから、椅子に座ってじっくり観察することにした。だってあの白石部長も出るんやで!?楽しみすぎるわ!そう思ってたら、隣に財前くんが座った。


「財前くん。応援せえへんの?」

「お笑い100m走なんてどう応援すんねん」

「ああ、確かに。財前くんは何の種目に出るん?」

「借りもの競争とクラス対抗リレー」

「財前くんが借りもの競争!?」

「なんやねん」

「いや、財前くんが靴貸してー!とか叫んでるんが想像できなくて」

「叫ばへんわ」

「ええ!叫ばへんの!?負けてまうやん!」


ほんま体育祭にもやる気ないんやな、財前くんって。そんなこんなでお笑い100m走がスタートした。まずは1年生、かなりの無茶ぶりに皆必死やった。うちのクラスは、いちばんおもろいタロー君が出るも、4位に終わった。


「結構スベっとったなぁ、タロー君」

「アイツ緊張してスベるとか、アホや」

「あ!次2年生や!テニス部3人もおるとかどないやねん」

「お前さ、」

「何?」

「何でもないわ」

「えー、何」

「何でもないっちゅーねん、ほら始まんで」


変な財前くん。2年生のスタート。スタートダッシュを決めたんはもちろん謙也先輩やった。浪速のスピードスターがどうたらこうたらってまた決め台詞までご丁寧につけてふはははは、と笑いながら全力疾走。だけど、こんなときにだってコケるというボケまで丁寧につけてくれた。


「アホや、謙也先輩!あ、白石部長がトップで紙引いた」

『さぁ、トップで現れたのは白石蔵ノ介くん!果たして、紙の内容は!』

『放送席にまわってきましたよ!ジャジャン!校長先生のモノマネでおもろい言葉を!では、いきます!3、2、1!』

「エークエークエクスタッスィー!俺は蝉かっちゅー話や」

「んなっ!白石、それ俺の台詞やんけ!」


あは、あははは、あは!白石部長ウケる!最後に校長先生やのに、謙也先輩のマネするとか笑える!最高!っていうか白石部長のキャラ失ってもうてるやん!もちろん大爆笑のため、白石部長のクラスは1位やった。つづいて謙也先輩は見事にスベり、小春先輩のクラスが2位やった。


「謙也先輩スベるとかおもろいわー」

「さすが謙也さんや」

「あ、次財前くんの借りもの競争ちゃう?」

「めんど」

「やる気だして、やる気!」



やる気なし財前くん

(うわ、財前くん走るの適当!)
(ちょ、お前来い)
(え、何!何で私!?)
(お題がアホな人やねん)
(え、私アホ?)



END





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