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ある秋の日、体育館で体育の授業中。

今日は男子も女子もバスケということで、今は体育館の床に座り順番待ち中。



「ほら、アンタの財前くんに皆、みとれてんで」

「いやいや、真衣サン。私の財前くんやないから!」


男女一緒ということは、もちろん財前くんも一緒ということで。今は、財前くんが試合中。普段やる気ないくせに運動神経はええから、ボールが回ってこれば、すんなり抜けてゴールを決める。そんな財前くんに、女子たちは皆釘付け。


「しゃべる女子なんてアンタぐらいしかおらんから、てっきり付き合うてんのかと思ってたけど、ちゃうの?」

「ちゃうよ!それは私がテニス部マネージャーなだけ!」

「ふーん。ま、ええけど」


財前くんはモテるから、可愛い子にたくさん告白されてるらしい(小春先輩談)。それに私みたいなのなんて財前くんは絶対に好きにならんやろ。

ピーッという試合終了の合図が聞こえ、私達の番がまわってきた。小学校のときに少しだけバスケやってたことがある言うたら、ジャンプボールさせられるっていうね。ほんまやめてほしいわー。

ぽーんとあげられたボールをジャンプして、触ろうとする。最近やってへんかったからか、思い切り指の先をボールにぶつけてしまった。いってー!!


「千奈!」

「え、」

「まかせた!」

「ええ!?」


しかも痛いっちゅーのに、ボールはパスされるし、もうこうなったら勝ったるー!と痛みも忘れてがむしゃらにやっていたら、なんとか私らのチームが勝った。


「千奈ちゃんのおかげや!ホンマうまいなぁ、バスケ」

「えへへへ」


やばい、超じんじんすんねんけど!早よ体育終わってくれへんかな。今、保健室行ったら皆に心配される!そんなんめんどくさいから、それだけは避けたいねん!体育館の隅に移動し、体育座りでじっとしていると、ふと目の前に人が現れた。顔をあげれば、そこには財前くん。


「何?」


財前くんは何も言わずに、私の指をむぎゅっと握った。いってぇー!それさっき怪我した指!痛さに顔をゆがめると、財前くんははぁ、と溜め息をついた。


「お前、アホやろ」

「ちょ、離して」

「腫れとるし。保健室、行くで」

「え、別に後で行くから」

「こういうのは早めの処置が大事やねん」

「でも」

「今、誰も見てへんから」


財前くんはそう言うと、誰かがシュートを決めたらしくそれに盛り上がっていて誰も見ていないすきに、私を体育館から連れ出した。



体育でケガしました

(いつから私のことを)
(見ていたんだろう…)



END





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