12 文化祭の出し物も決定して翌週、秋の西日本大会があった。我が四天宝寺中は見事優勝し、そしてその翌週。今日は、財前くんの新人戦なのです! 「財前くん!頑張ってや!」 「財前、緊張せんでええからな」 「いつもどおりにやればええっちゅー話や」 「何を今さら言うてるんすか。っていうか何も全員で来なくてもええのに」 財前くんメインの公式戦ということもあって、レギュラー総出で応援に来てるのです。そして個人戦、初戦の相手は地元の近くの中学。 「行け行け、財前!」 「光くぅーん!頑張って」 「浮気か!死なすど!」 「うるさいっすわ」 初戦を6−0で相手に1ポイントも取られず楽に勝った財前くん。ホンマテニスうまいなー。中学から始めたとは思えへんわ。二回戦、三回戦と、財前くんは顔色一つ変えんと勝っていった。 「次、準決勝やん!」 「何や全部ストレートで勝ちよって。もっと嬉しそうな顔しろや」 「でも次の相手も侮れんっちゅー話や。なぁ、小春」 「せや。次の相手も全部ストレート勝ちしとる。京都の子や」 「へぇ」 それ、やばいんちゃうん?っていうかいつの間に小春先輩と謙也先輩は偵察に行ったんやろか。お昼ごはんをもぐもぐと食べながら小春先輩の話を聞く。 「それにしても、新人戦懐かしいなぁ」 「去年は蔵リンが優勝やったわねぇ」 「そうやったんですか?」 「せやで、千奈ちゃん。見に来てた女子たちがキャーキャー言うて大変やってん」 「へぇー」 白石部長が優勝やったんや。まぁ、女の子たちがキャーキャー言うのもわかる気ぃするわ。そして時間になり、財前くんは準決勝のコートへと向かった。 「君が四天宝寺の天才、財前光くんか」 「天才?」 て、天才!?財前くんすでに天才として知れ渡ってんの!?白石部長は、もう天才って呼ばれとるんかー、とか呑気なこと言うとるし! 「でも、小さいころからスクールでテニスしてきた俺には勝てへんと思うで?」 「ふーん。ま、何でもええけど」 なんか相手、挑発してきとんのやけど!っていうか小さいころからスクールでテニスしてきとんのやったら、挑発なんてせんとプライド持ってやれや!そして始まった準決勝、相手のサーブからのスタートやった。鋭いサーブ。 「ひぇー!何すか、あのサーブ!白石部長!」 「早いな。そしてコースも鋭い。でも、財前ならあれぐらい余裕やろ」 「へ?」 白石部長の言葉通り、財前くんは相手のサーブを完全に打ち返して、それも鋭いコースに打ちこんで全部リターンエースをとってしまった。 「さすが天才やな」 そして財前くんは、6−0でまたもストレート勝ちを果たした。強い子にも勝ってまうなんて、ほんま財前くんってすごい…。決勝戦もストレートで勝った財前くんは、四天宝寺の天才として、知れ渡ることになった。 新人戦、優勝です (ご褒美のこけしや) (いりません) END |