10 「ふわぁあ」 「でかいあくび。女としてどうなん、それ」 「だって教頭の話、長いねんもん。財前くんは眠くないん?」 「眠いに決まってるやん」 ですよね。いつも寝てる財前くんが今日に限って眠くないはずないですもんね。今日の部活は何やるんやろなー、なんて始業式中だろうが財前くんとしゃべっていたら、先生に叩かれた。痛いし。 「あ、あの金髪、謙也先輩ちゃう?」 「ああ、そうやな」 「え、っていうか一氏先輩、小春先輩のこと見すぎちゃう?」 あは、うける!なんて言ったら、再び先生に叩かれた。だから痛いっちゅーねん!手加減しろや! 「なぁ、お前ってさ」 「何?」 「あー、いいや。なんでもあらへん」 「そこまで言ってやめるん!?気になんねんけど」 「ええねん。気にせんといて」 いやいや、そこまで言うたら誰でも気になるやろ。財前くんはぼそっと、謙也さんのこと好きなん?と聞いてきた。 「え、私が?」 「お前以外におらんやろ」 「えー、どうだろ。謙也先輩は楽しいし、優しいけど、でも好きとは違うかも。っていうか好きとかようわからへんし」 「ふーん」 人に聞いといてその反応かい!あんま考えたことないなぁ。恋愛とか。だってまだ中1やし、確かに小学校のときとか、付き合ったとか友達は言うてたけど、明らかにそれ付き合ったって言えれへんやろ。付き合うとかサッパリや。財前くんは好きになったこととか、付き合ったこととかあるんやろうか。聞いてみたいけど、何か聞くことが出来なかった。 新学期が始まりました (この後テストとかだる…) (え?テストって?) (は?このあと課題テストやんけ) (……マジですか) END |