07 「ふおぉー!すごー!」 「はしゃぎすぎや」 「だってだって財前くん!こない広い会場見たことあらへん!」 8月も終わりごろ、私達は東京に来ております。それもこれも我がテニス部は全国大会準決勝まですすんだのです!準決勝の相手は、立海とかいう神奈川県の中学。去年の優勝校です。 「おー。なんや立海さん、ようやく来たで」 「すごい貫禄やなぁ」 なんてうちの先輩方が話しているように、私ら四天宝寺よりも遅れてやって来た。ほんますごい貫禄や。あれが去年の優勝校…。じーっと見ていたら、超美形なお方に、ニコっと微笑まれてしまった。かっこいい……やなくて!強そう。でも、うちの先輩らも白石部長も一生懸命練習してきたんや!絶対勝てる! 「そういえば小春先輩。うちのオーダーはどうなっとるんですか?」 「なんと!蔵リンがシングルス1やねん」 「ええー!白石部長が?」 「さすが蔵リンよねぇ」 部長が誰よりも一生懸命、練習をしてきたのを知ってる。昨日も休みやったはずなのに、白石部長は一人自主練に励んでいた。白石部長にまで繋ぐには先輩らに勝手もらわな! 「がんばってください!」 「おー。おおきにな、千奈ちゃん。頑張ってくるわ」 そう言ってコートに立った先輩。シングルス3の相手は、おかっぱ頭の目のつぶった人だった。目、見えてんのかな?小春先輩に聞けば、2年生らしい。2年生にしてあの立海のレギュラー。今回、立海には3人2年生でレギュラーの人がいるらしい。おかっぱ頭の柳さんは、2年生にしてめちゃめちゃ強い。その人相手に先輩らは良い試合をした。結果は7−5で負けてしまった。 「おつかれさまです、先輩」 「すまんな、負けてしもたわ」 「いい試合でしたよ」 続いてダブルス。あの立海をタイブレークまで追い詰めるも、最後には負けてしまった。次にかかっている。次、負けたらもう終わりだ。さっきから白石部長は一言も話さんでいる。何を思っているんやろうか。 シングルス2はまたも立海2年生の人。黒い帽子かぶってて、とても一つ上には見えないぐらい老けてる人やった。先輩は一生懸命食らいつくも、最後は6−4で負けてしまった。白石部長にまでまわることなく、3年生の先輩らの夏は終わった。 全国大会準決勝、一つの夏が終わりを迎えました (白石部長の背中が) (とても小さく見えた) END |