06


中学に入学して、部活はテニス部マネージャーになり、一生懸命仕事を覚えたり、なぜかテニス部部員のファンの先輩らに応援されたりしましたけども。応援されながら部活をすること1ヶ月以上が過ぎました。梅雨明けはまだかと思うほどじめーっとしていて、衣替えもして、夏服にもなりました。そして明日から、期末テストです。


「アカン、なんやねん数学って」

「うるさいで」

「だって財前くん!私、数学全くわからへんのやけど」

「だからって何で俺が」

「部長命令やんかー!」


そうです。期末テスト前日ということで数学が全くわからへん私に、財前くんという家庭教師を白石部長が付けてくれたんです。白石部長が教えてくれたらええやん、と思うたけど、俺の勉強が厳かになったらどないしてくれるん?みたいな目に、何も言えませんでした。


「中間テストは、何点やったん?」

「えーっと、10点ぐらい?」

「……俺、帰るわ」

「わーわー!見捨てんといてー!」


めんど、とか言いながらも教えてくれる財前くんは、きっと優しい人なんやろうと思う。っていうか理科もわからへんから、理科も教えてというと、心底嫌そうな顔をされた。


「ここは何?なんでえっくすがマイナス?」

「そない初歩的な…」

「ちょ、今バカにした!?」

「バカにされたなかったら、勉強せえ」


ご尤もなことを言われ、一生懸命問題集を解く。そんなときふいに私の携帯がブーブーと鳴った。サブ画面で確認すると、謙也先輩からのメールやった。


「あ、謙也先輩や」

「謙也先輩?」

「うん。勉強頑張ってるか?やって」

「ふーん」

「頑張ってます、っと」


謙也先輩も勉強してんのかなぁ?と財前くんに聞くと、知らん、と返ってきた。あれ?なんか財前くん不機嫌?自分も謙也先輩からメールもらいたかったとか?財前くんって謙也先輩と仲良いもんな。


「なんか、ごめん」

「は?」

「いや、財前くんも謙也先輩からメールもらいたかったんかなって」

「……はぁ。ほら、早よ問題集」

「えっ、あ、はい」


呆れたように溜め息を吐いた財前くん。えー、なんで呆れられたんやろー。問題集を解きながらちらっと財前くんを見ると、不機嫌そうな顔で携帯をかまっていた。なんやねん、やっぱりかまってもらいたかったんやん。



期末テストの勉強会

(30点って…アホか)
(ええ!?これでも結構点数あがったのに!?)
(あんなに教えたのに、なんでやねん)
(そういう財前くんは何点やったん?)
(80)
(すご!)



END





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