05


いつもの1時間も早く起きることが少し慣れてきた今日この頃。マネージャーになって早1週間が過ぎました。最初のうちは小春先輩や小石川副部長に教えてもらいながらマネージャーの仕事を覚え、ようやく最近一人で出来るようになってきた。


「千奈ちゃーん、ドリンク頼むわ」

「はい、白石部長」

「だいぶできるようになったなぁ」

「頑張ってます」

「偉い偉い」


そう言って白石部長は私の頭を撫でた。朝練が終わると、部室前で財前くんを待ち、一緒に行くのが日課。だって同じクラスやし、一緒に行くの当たり前やん?最初はお前ら付き合ってんのか的な噂が流れたが、財前くんがこないなブスと付き合うわけないやろ、とズバッと一言いうたら、せやんなー、って皆納得したっていう。


「おはよ、千奈」

「おはよー、真衣」

「財前もおはよ」

「おはよ」


財前くんは、だるそうに座ると携帯を取り出した。HRもたいして聞かずに、音楽を聞いているようだった。中学1年生にして、ピアスをつけている財前くん。うちの学校は校則も自由なほうなので、特に何も言われないが、普通の中学校やったらアウトやで、それ。授業が始まっても財前くんは、基本携帯いじり、休み時間になればぐだーっとしている。たまに謙也先輩とかとやり取りしているようやった。


「財前ってあれでも人気あるやんな」

「え、そうなん?」

「隣のクラスの子とか先輩とかも結構財前のこと見に来てんで」

「へー。財前くんモテるんや」


まぁ、顔は整ってるほうやしなぁ。でもそないに人気あるとは。無愛想やのに。私はお昼休みにお弁当を食べ終わってから、トイレに行った。スッキリし、トイレから出ると、2年生の先輩方にちょっと来て、と言われた。

え!なになになに!まさかこれっていわゆる呼び出し?お前、イケメン揃いのテニス部でマネージャーとかして逆ハーレムしてんなよ的ないじめられる系やないの?そんな漫画ちっくなベタな展開ほんまにあるんや!裏庭に到着すると、案の定私の前に3人の先輩が立ちはだかった。でもこういうんって確か絶対一人助けに来てくれんねん!そんでその人と最終的に付き合うとかいうパターンちゃうん?うはっ!誰が来てくれんねやろ!


「テニス部マネージャーの葛城千奈さんやんね?」

「は、はい!そうです」

「白石たちとだいぶ仲良うやってるみたいやけど」

「マネージャーなので…」


キタコレ!ここで生意気なのよって言われるっていうね!そうそう、マネージャーになってくれてありがとうって、それだよ漫画的な王道じゃ


「え?今なんて?」

「マネージャーになってくれてありがとう」

「え?」

「いやー、私らも白石とかにマネージャーやってくれって言われてんけどなー、なんせあのテニス部やん?ちょっとマネージャーとかはええかなぁーって」

「えっと、あの、ファンの方じゃないんですか?」

「そやでー。白石のファンやねんけどな、でもマネージャーってあのめんどくさい仕事するにプラスしてあの個性豊かなのまとめなアカンねんで?大変そうやん?だからマネージャーやってくれるような根性ある子がいてくれてよかったわぁ」

「は、はぁ…」


全然王道じゃないやん!え、何、確か誰か言うてた気がする。誰もやってくれへんかったと。だからって…呼び出してまで応援するなんて…どんだけええ人たちやねん!


「ほなこれからも頑張ってな!私ら千奈ちゃんのことも応援してるから」

「は、はぁ。どうも」


爽やかに手を振りながら去っていく先輩達。なんやねん、それ。いじめられて王子様現れてうはうはな妄想した私を返してくれ。しょぼんとしながら歩いていると、途中で財前くんが壁にもたれていた。


「財前くん。何してんの?」

「べつに。散歩や」


財前くんって暇人なんやな。そんなこと言うたら殴られそうやからやめとこ。あーあ。私の王子様はどこにおるんやろ。実は恋なんてしたことないから、初恋もまだやねん。



王道路線ではありませんでした

(ホンマはお前が先輩に連れられてくの見えたから)
(着いて来たなんて、)
(死んでも言えへん)



END

2011.12.10 ちょこ





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