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「莉子ちゃん。今日、飲み会あるんやけど来ぉへん?」

「飲み会かぁ」


仕事の昼休み。同期の子たちとランチを食べていると、突如一人が飲み会の話を持ちかけて来た。私は府内の会社でOLをしている。もう仕事を初めて3年になる。こうやって同期の子たちとも仲良くやっていて、だけど今までに一度も飲み会には参加したことなかった。女の子同士の飲み会なら行くけど、男もいるとなるとそれは別の話だ。


「莉子ちゃん、いっつも誘っても来ぉへんやん。急に一人来れんくなってん。参加してくれへん?人数合わせだけでええねん!つまらんと思ったら帰ってくれていいからさ」


ねっ、お願い!という同期の頼みに、悩む。いつも断ってばかりだからたまには行ってあげたいな、とも思うけど。私は誰とも付き合う気はない。それは未だに過去を引きずっているからで。いつまでも未練があったらダメだと思うけど、ずっと忘れられない。

でも、前を向かなきゃね。


「いいよ。参加する」

「ほんとに!?やった」


それからカタカタと仕事をこなし、定時であがる。いつもより念入りに化粧を直す皆を見て、私も同じように化粧を直した。聞いたところによると今日の相手は病院関係らしい。中には医者もいるとか。だからそんなに皆気合いがはいってるわけね。

会社から歩いて数分のところにある少しお洒落な居酒屋に到着し、すでに男性陣が待っているらしく案内してもらった。飲み会に参加するのは初めてやから少し緊張した。


「おまたせー。ごめんなぁ、遅くなってもうて」

「今来たところやから大丈夫やで」


幹事の女の子と男の子が話しているときに緊張しながらも男性陣を見ると、そこには見慣れた顔があった。


「謙也くん!?」

「莉子!?なんで」

「いや、それはこっちの台詞」

「は、え、うわぁ…」

「え?」


中学高校と同級生で仲良かった忍足謙也くん。大学は医学部にすすんだことは知ってたけど、まさかこんな飲み会で再会するなんて。お互い大学にすすんでからは連絡もあまりとってなかったから久しぶりだった。なのに謙也くんは、あちゃー、みたいな顔をしていた。久しぶりに会ったのに何でガッカリされるわけ!?そう思っていたら、謙也くんが後ろを指差した。


「うそ………」


差されたほうを見ると、そこには驚いた顔をしている、私がずっと会いたくて、ずっと想い続けていた人。



「蔵ノ介……」



それは偶然の再会でした

(溢れそうになる涙を)
(ぐっと堪えた)



END

2011.12.15 ちょこ





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