08



なんかもう、全部うまくいかないなー。異動しないかと聞かれて1週間が経った。そんなことを言ったら同期の子が飲みに誘ってくれた。だから二人で仕事が終わってから、お洒落なバーに入った。私に合ったカクテルを作ってくれた。それは綺麗なピンク色で、飲んでみたら甘くておいしかった。


「どうしたらいいかなー?」

「この時代やしなぁ」

「もー。遠回しにリストラ宣告だったりして」

「まさか。ホンマに辞めてほしかったら、辞めてほしいって言うやろ」

「そうかなー?」


もう今は何を考えてもネガティブになってしまう。そんなことを考えていたら、私の前に一つのカクテルが置かれた。


「あちらのお客様からです」

「えっ」


本当にこういうことってあるんだ!大人な雰囲気な眼鏡をかけた人が私のほうを見て、手を振っていた。私はお辞儀をしてから、カクテルを口に運んだ。そしたらその人が私の隣に座った。


「浮かない顔して。悩み事でもあるん?」

「えっと、あの、これありがとうございました」

「ええねん。こない可愛い子ぉが笑顔でおってくれな困るわ」


寒いぐらいくさいセリフを言う彼の言葉も、今は何だか嬉しかった。その人はとても優しく、私と同期の子の話をただただ聞いてくれて、優しい言葉をかけてくれた。


「えらい大変やなぁ。でも、どんな状況でも自分が思うように動いたらええと思うで。応援しとる」

「ありがとう」


ほら、もっと飲んで嫌なことは忘れようや、とその人はまたもおいしいお酒を頼んでくれた。私はその言葉どおりに、ごくごく飲んで、忘れようとした。そしてそのうちに私はまたも記憶をなくした。



何もかも忘れたくて、やけ酒

(明後日は、)
(クリスマスだ)



END





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